兵頭功海、『下剋上球児』で得た役者としての新たな一歩 「お芝居しちゃダメなんだ」

『下剋上球児』兵頭功海インタビュー

いつかまた日曜劇場のもっと真ん中に

――主演の鈴木亮平さんとは、現場でどのような会話をされていますか?

兵頭:僕が言うのはおこがましいですが、奥寺(佐渡子)さんの脚本はすごく難しくて、僕らが考える隙間が多いんです。塚原さんもおっしゃっていましたけど、「このシーンとこのシーンの間に何があったんだろう」というのが、どうとでも埋められるし、その考え方でそのシーンの意味がすごく変わるんですよ。お互いの認識が一致しないと統一性のないシーンになってしまうので、亮平さんは僕と同じ目線に立って「根室はここに来るまでに、どういうことをしていたと思う?」「根室がそうしていたなら、先生はたぶんこう心配して、今ここにいると思う」と一緒に隙間を埋めてくれて、一つ一つのシーンを丁寧に撮れているなと思います。フェリー乗り場で「野球続けたいのかなと思って見てたよ」と南雲先生が根室に伝えるシーン(第1話)でも、亮平さん自身がいろいろと考えて、ワンカット撮り終わったあとには監督と何十分も話してそのシーンを作ろうとしてくださっていて。主演とはいえ人間なので、「もういいや」となることがあってもおかしくないと思うけど、亮平さんにも塚原さんにも、絶対に妥協がないんです。プロ意識の高い2人を見て、「すごいな、こうならないといけないな」と思っています。

――黒木華さんの印象も聞かせてください。

兵頭:黒木さんは、みんなの寮母さんみたいです(笑)。母ともまた違って、寮母さん。ふだんは後ろにいるけど、「はい、しっかりやれよ!」とパッと締めてくれる感じがします。すごく優しい眼差しで僕らを見ていて、目が合ったらニコッとしてくれるんですよ。相談にも乗ってくれますし、「最近こういうことにハマってるんですよねー」みたいな僕らの男子高生のような会話も、「なに喋ってんの」と笑いながら聞いてくださいます。

――姉役の山下美月さんの印象は?

兵頭:山下さんは、人格者だなと思いました。本当に人として素晴らしくて、リスペクトはあるけど壁は一切なくて、すごく話しやすい空気を作ってくれます。正直、撮影日数はそんなに多くなくて、たくさん話しているわけではないんですけど、会うたびに本当の姉ちゃんのように感じます。実年齢は、僕のほうが一個上なんですよね。だから、「山下さんの弟に見えるかな」と不安もありましたけど、最初に山下さんが洗濯物を干している後ろ姿を見て、「姉ちゃんだわ」って。お芝居もそうですし、持っている雰囲気も含めてそう思えたことに、すごく感謝しています。

――今作を通じて、役者としての新たな気づきはありますか?

兵頭:たくさんありますが、一番は「お芝居しちゃダメなんだな」と。根室は「貧乏で、親がいなくて、野球ができるかもわからなくて……」という説明を見ると、塚原さんからは「記号化しないで」と言われていても、どうしても「かわいそうな子なのかな」とか意識しちゃうんです。でも、根室だってたくさん笑うし、明るいときは明るくて、僕らと一緒なんですよね。そういう生っぽさを出すためには「お芝居しちゃダメなんだ」と、塚原さんの演出や亮平さんを見ていてすごく感じます。それに、僕は役者を始めて5年目ですが、今回初めてレギュラーでドラマに出ている球児メンバーの顔を見て、「すごく自然だな」と思う瞬間もたくさんあって。「僕も僕としてそこに立って、心から笑って、心からそう思って演じたいな」と強く思いました。

――この経験を経て、役者として飛躍したいという思いもありますか?

兵頭:僕は今年、初めて地上波ゴールデン帯の連続ドラマに出させてもらいました。今回は日曜劇場という大きなステージでお芝居をさせていただいたので、視聴者の方がどう感じるのかも気になりますし、業界の方からは「いつか一緒に仕事したいな」と思ってもらえたらいいな、と思います。まずはこの『下剋上球児』で根室を一生懸命演じて、いろんなところでお仕事をして、いつかまた日曜劇場にもっと真ん中(に立つ役)で帰って来られるような役者さんになりたいです。

――第6話の見どころを教えてください。

兵頭:第6話では、富嶋(福松凜)たちの代の夏の大会が始まります。去年、日沖お兄ちゃん(菅生新樹)たちの代で負けてから、越山高校野球部が1年間でどれくらい成長したのか。それが野球シーンを通して伝わる回になっていると思うので、特に富嶋、野原(奥野壮)、紅岡(紘瀬聡一)の3人に注目してもらいたいです。その先輩3人の背中に、根室としても、僕としてもグッとくるシーンがたくさんあったので、見どころかなと思います。

――今後の根室の注目ポイントもお願いします。

兵頭:あんなに気弱で、あんなに球も遅くて、野球部に入るかも悩んでいたような子が、どんどんチームを支える存在になって、翔をライバル視できるまでに成長していくので、その過程を見守ってもらえたら嬉しいです。僕としては「この子がここまで成長して、こういうプレーをするようになったんだ!」と思ってもらいたいので、ぜひ注目してほしいなと思います。

■放送情報
日曜劇場『下剋上球児』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:鈴木亮平、黒木華、井川遥、生瀬勝久、明日海りお、山下美月、きょん(コットン)、中沢元紀、兵頭功海、伊藤あさひ、小林虎之介、橘優輝、生田俊平、菅生新樹、財津優太郎、鈴木敦也、福松凜、奥野壮、絃瀬聡一、鳥谷敬、伊達さゆり、松平健、大倉孝二、小泉孝太郎、小日向文世
原案:『下剋上球児』(カンゼン/菊地高弘著)
脚本:奥寺佐渡子
プロデュース:新井順子
演出:塚原あゆ子、山室大輔、濱野大輝
編成:佐藤美紀、黎景怡、広瀬泰斗
製作:TBSスパークル
©TBSスパークル/TBS(撮影:ENO)
©TBSスパークル/TBS :Len
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/gekokujo_kyuji_tbs/
公式X(旧Twitter):@gekokujo_kyuji
公式Instagram:@gekokujo_kyuji
公式TikTok:@gekokujyo_tbs

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる