『NO選挙,NO LIFE』は優しさに溢れた人生讃歌だ! TVでは観ることのできない選挙戦の裏側

『NO 選挙,NO LIFE』は人生讃歌

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、ドキュメンタリー作品が好きで昔アポなしで制作会社に企画書を持ち込んだ橋本が『NO 選挙,NO LIFE』をプッシュします。

『NO 選挙,NO LIFE』

 「選挙戦」と聞くと、なんだか難しそう、普段関わらないジャンルだと意識してしまうこともあるだろう。確かに選挙を題材にした作品はいくつもあり、退屈に感じてしまったりした作品もあっただろう。だが本作は一味違う。フリーランスライター・畠山理仁の選挙取材に密着した選挙戦はおもしろい! 候補者全員を取材することを記事を書く上での信条としているので、テレビや新聞では決して目にすることのできない選挙戦取材を垣間見ることができ、選挙というイベントがなんだか身近な存在に感じられる。

 本作は、2022年6月におこなわれた参議院議員選挙の公示日から始まる。スマイル党、トップガン政治、炭を全国でつくる党、自称超能力者……選挙戦には実に様々な人が立候補していることを教えてくれる。その人たち1人1人に話を聞いてゆく畠山。そこで彼らの主張を聞いていると、選挙戦というのが民主主義における最大のイベントのひとつであることが感じられる。すべての候補者が同額の供託金を支払い、対等な立場で立候補しているにもかかわらず、黙殺されてしまう人たちがいる。世間では「泡沫候補」と呼ばれるが、畠山は敬意を込めて「無頼系独立候補」と呼ぶ。決してメディアでは見かけることがない立候補者たちだ。

 選挙取材中に大きな事件も起きる。安倍晋三元首相の銃撃事件だ。これにより突撃取材がしにくくなるのでは、と心配する畠山が発した言葉「このままでは姿を見ずに、ポスターと広報だけのカタログ選挙になってしまう。普段そのように選挙に投票する人は圧倒的に多いのだから」という言葉を聞いて、自分もそうだなと思った。こんなにもバラエティに富んだ候補者がいるのに、存在すら知らなかったことに気づかされた。

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