伊原六花はネクストブレイク間違いなし? 『マイハル』『ブギウギ』で見事な演じ分け 

『マイハル』伊原六花の絶妙なバランス感覚

 演技力の高い俳優が同じ時期に放送されている複数のドラマに出演していると一瞬、頭が混乱する。1人の人間が演じているにもかかわらず、ちゃんと違う人物に見えるからだ。現在でいえば、伊原六花。火曜ドラマ『マイ・セカンド・アオハル』(TBS系)とNHK連続テレビ小説『ブギウギ』で、伊原は対照的な役柄を見事に演じ分けている。

 『マイ・セカンド・アオハル』は、「こんなはずじゃなかった」と思いながら日々を送っていた30歳の主人公・白玉佐弥子(広瀬アリス)が、謎の大学生・小笠原拓(道枝駿佑)の一言をきっかけに大学生となって、第二の青春を謳歌する物語だ。“学び直し”は人生100年時代における重要な課題だが、大人になると新しいことを始めるのは正直億劫。そんな中、令和の大学生たちと混ざり、建築士の夢を全力で追いかける佐弥子にバイタリティを分けてもらっているような感覚になる。しかも、佐弥子は男女問わず建築学科の学生が集うシェアハウスに入居。まるで恋愛リアリティショーのような暮らしぶりが眩しい。

 特に気になるのが、佐弥子と拓の間に芽生えそうな恋の行方。互いに授業で提出する課題やコンペに出す作品づくりを手助けするうちに2人は関係性を深めていく。その仲をかき乱しそうなのが、伊原演じる桂山キイナだ。屋上で佐弥子に「素直で可愛い」と言った拓が、「キイナとキスした?」と思わせる第2話のラストシーンに思わず声が出た。でも、最初から拓とキイナの雰囲気に嫌な予感がしていた人も多いはず。特にキイナに関しては、伊原の含みのある芝居がそのキャラクターに奥行きを持たせている。例えば、2人で楽しそうにしている佐弥子と拓を見るときのジトッとした目つきや、みんなの前で自分だけが知っている拓の情報を披露する際のどこか得意げな口調が、視聴者の警戒心を強める要素になる。とはいえ、分かりやすく悪女でもない、絶妙なバランスで伊原はキイナを演じている。

 2015年に、当時所属していた大阪府立登美丘高等学校ダンス部の“バブリーダンス”がブームになり、キャプテンを務めていた伊原に世間の注目が集まった。もともとバレエの経験者で、子供ミュージカルにも出演していたことから演技、ダンス、歌と幅広い表現方法を心得ている伊原。本格的に芸能活動を開始した6年前からドラマや映画の現場も複数経験し、ここからさらに飛躍するであろうネクストブレイク候補の一人だ。

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