『16bitセンセーション』で想う“昔の”秋葉原 アニメで描かれてきた街の発展

『16bitセンセーション』で想う秋葉原

 2009年に発売されたゲームを原作に、2011年に放送されたTVアニメ『STEINS;GATE』には、そんな時代の秋葉原が活写されている。秋葉原ラジオ会館があって中にパーツ屋や部品屋が軒を並べていて、中央通りから1本入った路地にもジャンク屋が並んでガジェット街といった雰囲気を出す。

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 作品自体は、起こってしまった悲劇を変えようとして大学生の主人公、岡部倫太郎が時間を遡り、何度も失敗を繰り返しながら未来を切り拓くスリリングなSFだった。不思議なガジェットが転がる当時の秋葉原なら起こりそうな出来事だと感じさせてくれるマッチングぶりが素晴らしかった。建て直される前の秋葉原ラジオ会館の屋上に、タイムマシンが現れた時には街が本当に『STEINS;GATE』の世界になった。

 その活況が、10余年を経て今も残っているかは微妙なところだ。ショップの数は減り18禁の美少女ゲームを専門に扱う店も、Blu-rayやDVDを扱うショップも減ってキャラクターグッズを扱う店がグッと増えた。女性向けに限って言えば池袋に完全に持って行かれた。

 2013年から14年にかけてTVシリーズが放送され、2015年に劇場版が公開された『ラブライブ!』の舞台となっていた時は、AKB48の影響もあってアイドルの街としての雰囲気も残っていたが、そうした空気は『ラブライブ!サンシャイン!!』とともに静岡県の沼津へと映った。中央通りをスクールアイドルが埋め尽くしてライブをする光景は彼方へと去った。

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 今はメイドたちが手に拳銃を持ち、長ドスを振り回して争っている街……というのは2022年放送の『アキバ冥途戦争』での完全なるフィクションだが、メイド風の少女たちが歩道に立ってずらりと並んでいる光景は、1992年にはまったく予想できないものだった。その意味では、何が起こるか分からず常に変わり続けている街とも言える。これからも変わり続け、その都度いずれかの作品に風景を残し続けるだろう。

 ただし黄色い看板で有名な牛丼専門店サンボだけは存在し続け、美味しい牛丼を出し続けているに違いない。

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