朝ドラ『ブギウギ』のラインダンスに鳥肌 蒼井優&翼和希が体現したトップとしての覚悟
大和ひとりに責任を負わせるわけにはいかないと橘もやめることを決意した。大和と橘に「ここにいてほしい」と泣きつくスズ子に梅丸愛がないわけでは決してない。ただ、スズ子にとっては、大和と橘がいてこその梅丸だったのだ。幼いスズ子が憧れた舞台に立っていた2人がいなくなることは、どうしようもなく寂しいことだった。
純粋に寂しくて悔しくて、人目もはばからず泣き崩れたスズ子の姿が、大和と橘の率直な思いを引き出す。大和はこみ上げてきた悲しみをなんとか堪えようとしていたが「悔しいなあ、やめたくないなあ……」「やめたくないよ」と呟いた。
橘は、泣き崩れるスズ子にそっと寄り添うと「うるさいのがおらんようになって清々するやろ」と声をかける。「嫌や! うるさい人におってほしいんです!」と抱きつくスズ子を、橘は何も言わず抱き留める。その手はとてもやさしかった。大和も橘も、指導者としては厳しく、けれど後輩たちを誰よりも気にかけていた。そんな2人のトップスターが、梅丸を立ち去った。
深い悲しみに暮れるスズ子だったが、つらい時こそ彼女は歌う。大和と橘がいた日のことを思い出しながら、スズ子は前を向く。高らかに歌うスズ子がふっと見せた明るい表情は美しかった。
梅丸から大和と橘がいなくなってしまったが、和希(片山友希)や後輩たちが戻ってきた。物語の終わり、スズ子たちは観客の前で大和が考案したラインダンスを披露する。皆の心が一つになった圧巻のラインダンスに、客席が熱狂した。スズ子の清々しい表情で第18話は幕を閉じた。新しい梅丸の始まりを象徴するかのようだった。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK