『家政夫のミタゾノ』“最も近い他人”が暴く家庭の闇 受け継がれる家政婦/夫ドラマの魅力

『家政夫のミタゾノ』家政婦/夫ドラマの魅力

 主人公の杏子(永野芽郁)は、自宅が全焼し家族がバラバラになってしまった過去を持つ。この一家全焼事件の真実を探るために、父親の後妻となった真希子(鈴木京香)が仕切る元・自宅に名前を変えて家事代行業者として乗り込んでいく。

永野芽郁&鈴木京香がNetflix作品初出演 『御手洗家、炎上する』2023年配信決定

永野芽郁が主演を務めるNetflixシリーズ『御手洗家、炎上する』が2023年に配信されることが決定した。  本作は、代々病院…

 元々シングルマザーで貧しかったところから、院長夫人となり読者モデルとしても活躍する真希子は、見栄っ張りで自己承認欲求と自己顕示欲を燻らせ続けている暴き甲斐のある相手で、2人の腹の探り合いは見応え抜群だ。さらに本作では、自宅や家族など大切なものを根こそぎ奪われた杏子が、その現・持ち主である真希子から大事なものを奪い返そうとするという一触即発の構図や因果応報を感じさせる展開に一気見を辞められなかった視聴者も少なくはないだろう。

 どんな家庭でもひとたび他人がそこに介在し、他人の目を通して切り取ると、きっと異様で奇妙に思える関係性や習慣などが出てくるのだろう。基本的には部外者が深くまで立ち入ることがないからこそ、その歪さは誰にも発見されず正されることもない。人が生まれて初めて否応なしに所属することになる最小のコミュニティで、配偶者以外は互いに選べないのが家族だ。一番素顔を見せ合っているかに思えるが、必ずしもそうとは言えず、さらに秘密を守ったり隠そうとする裏には、家族が家族を想う愛情があったりするからまた厄介だ。

 理由もきっかけもなく気づけば“家族”になっていたからこそ、“家族”という関係値にあぐらをかきすぎていてはいけないこと、そして必ずしも家族こそが互いにとっての最大の理解者というわけではない現実を、これらのドラマは最も近い他人である家政婦(夫)の目線を通して可笑しみも交えながら見せてくれている。翻ってそれは“理想の完璧な家族”なんてものは存在せず、時に他人には理解できないような様々な家族の在り様をフラットに見せてくれているとも言える。

■放送情報
『家政夫のミタゾノ』
テレビ朝日系にて、10月10日(火)スタート 毎週火曜21:00〜21:54放送
出演:松岡昌宏、伊野尾慧(Hey! Say! JUMP)、桜田ひより、しゅはまはるみ、平田敦子、余貴美子
脚本:八津弘幸ほか
演出:片山修、小松隆志ほか
音楽:ワンミュージック
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:秋山貴人(テレビ朝日)、石田菜穂子(テレビ朝日)、木曽貴美子(MMJ)、村山太郎(MMJ)
制作:テレビ朝日、MMJ
©︎テレビ朝日

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる