『らんまん』里中の優しさが現実の重みを物語る 万太郎は国益と純粋な研究心の板挟みに

『らんまん』里中の優しさが物語る現実の重み

 徳永(田中哲司)は「お前はもう個人じゃない」と言い、細田(渋谷謙人)は「国が力をつけて初めて俺たちの立場も変わるんだ」と言った。その後、描かれた場面から、万太郎が大切にしたいことは、国のために働いて地位を確立することではなく、波多野(前原滉)と野宮(亀田佳明)のように目の前の研究に勤しむことといえる。その晩、万太郎は寿恵子(浜辺美波)に「『国の利益のために行け』と言われたけんど……それよりも、今の、ありのままの台湾の植物を見てくる方がずっと大切なことじゃと思う」と胸の内を明かした。

(右)槙野万太郎役・神木隆之介

 台湾に旅立った万太郎は、軍の命令に反してピストルは持っていかず、案内人の陳志明(朝井大智)と台湾語で言葉を交わす。万太郎は自分のやり方を曲げずに研究を進める決意をしたのだ。けれど、物語の終わりに案内人の陳が見せた表情に一抹の不安を覚える。寿恵子がお守りとして手渡した『日本植物志図篇』が、万太郎を守ってくれることを願う。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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