『18/40』“名もなき関係性”を築いた有栖と瞳子に変化? 最も大きな転機を迎えた祐馬
「私たちは、押し出されるように大人になる」。そんな高校時代を懐かしむような留依(長澤樹)と世奈(出口夏希)のモノローグから始まった火曜ドラマ『18/40~ふたりなら夢も恋も~』(TBS系/以下、『エイフォー』)第8話。
そう、大人とは「何歳になったから」という数字の区切りなんかでなれるものではない。自分では抗うことのできない大きな流れに飲み込まれながら、そうせざるを得ない状況によって大人に“なっていく”ものだ。第8話では、それぞれの想いを抱えた登場人物たちが、ひとつずつ大人になる様子が描かれた。
まずは、有栖(福原遥)から。有栖の元恋人・康介(八木勇征)への恋心から少々暴走してしまった世奈に、有栖はその想いに気づくことができずに「ごめん」と謝る。もちろん、世奈の言動から、すべてを察することなんて無理な話だった。そして勝手に息子の海の存在を康介に知らされてしまったことも心穏やかな話ではない。それでも、有栖は世奈に対して気遣う。
相手の非を責めたり、理不尽だと嘆くのは簡単だ。だが、これからもずっと繋がっていきたいと思う相手なのであれば、相手の言い分に耳を傾けていかなければならない。その努力ができるかどうかが、大人になることと限りなく近いように思った。
また、有栖は妊娠が発覚した当時、一番そばで支えてほしかったのに逃げ出してしまった康介に対しても、冷静に話をする。今さらプロポーズをしてきた康介に、大好きだったあのころとは、もう別の道を歩き出してしまったこと。それでも海の父親である事実は変わらないから、海に誇れるような生き方をしてほしいこと。そして「海に出会わせてくれて、ありがとう」と感謝の言葉を伝えるのだった。
そんな自分よりもずっと大人になった有栖を見て、康介も納得せざるを得なかったのだろう。もう同じところにはいないのだ、と。康介が海の好みも知らないままに買ったガラガラ。それを何も知らずに嬉しそうに振る海を、康介はただただ見送ることしかできない。
人生にはそのタイミングを逃したら、二度と手に入らないものがある。どんなに後悔しても、どんなに手を伸ばしても、あのときにした決断を覆す未来はないのだと受け入れる。その苦い涙を噛みしめる瞬間もまた、ある意味で康介を大人にしたのかもしれない。
過去と向き合って歩んでいくという点では、加瀬(上杉柊平)も、もう一段階大人になった印象だ。野球選手として味わった栄光と挫折。そんな野球で傷ついた日々から逃れるように現職のドライバーになった加瀬だが、今後は少年たちに野球を教えていこうと考えられるようになった。
それは、瞳子(深田恭子)との時間があったからだと加瀬。何もしていないと謙遜する瞳子に「何もしなくても、瞳子さんのおかげなんです」という加瀬の微笑みからは、まさしく大人の余裕を感じた。自分自身の変化を、相手のおかげだと感謝できることも、人を大人にするのだろう。