『こっち向いてよ向井くん』が切り込む、恋と寂しさという究極の問い 美和子が出した答え
向井くん(赤楚衛二)に浮上する美和子(生田絵梨花)の元カレ問題、元気(岡山天音)と麻美(藤原さくら)の間に入る大きな亀裂。『こっち向いてよ向井くん』(日本テレビ系)の第6話は、それぞれの繊細な感情を描ききる。
元カノ・美和子との再会以来、お互いの家を行き来するようになった向井くん。だがある日、美和子の部屋で元カレのシェーバーを見つけてしまった。しかも美和子と元カレは、5年も交際していた上に別れたのがたったの3カ月前だという事実まで発覚してしまった。向井くんは自分と付き合っていなかった10年間の美和子に起こっていた出来事に動揺する。時を同じくして、美和子は漠然とした「寂しさ」を感じていた。ある日、2人は共通の友人である杉(野村麻純)の家に遊びに行った。そこで杉から、「独身でも、結婚してても、母になっても、好きな仕事をしても、寂しい時は寂しい」と聞かされた美和子は、自分の心に抱えていた感情に気付く。
杉の言葉をきっかけに美和子にとっての寂しさが言語化されたことで、事態は思わぬ展開に。偶然会った洸稀(波瑠)に美和子との関係を相談する向井くん。すると洸稀は「寂しさを完璧に埋められたら向井くんの勝ち」と話す。そこに希望を見出した向井くんは「寂しさ」を埋められる存在になろうと考え始めるのだった。だが杉の言葉を聞いた後の向井くんは影響を受けたのか、美和子に「俺は自分の人生が楽しくなるために美和子と一緒にいたいわけで、美和子にもそうであってほしい」と伝える。さらに、すっかり交際している気になり、2人で再び一緒に歩いていこうとしていた。
だが美和子は違った。「俺って美和子の何?」と聞く向井くんに「元カレ」と答えており、向井くんの存在は寂しさを埋める以上でも以下でもなかったのだ。しかも杉の話を聞いた後の美和子は、その寂しさを埋めることにさえ、戸惑いを感じているように見える。「人は寂しいから恋をするのか、恋をするから寂しくなるのか」という主題が繰り返し問われた第6話では、まさにこの美和子の一連の行動からも、寂しさというものの厄介さがわかる。感情にこびりつき、時には判断力も衰えさせ、少しずつ心を蝕む「寂しさ」。ただ、杉のように大きく一歩を踏み出すことでそんな「寂しさ」を振り払いながら暮らすことはできるのだろう。だが、それに気づいてしまった美和子はもう、中途半端に気持ちを埋めるような付き合いはしないかもしれない。
これで向井くんが振られたわけではない。向井くんの独りよがりな勘違いが修正されただけであり、2人の将来はこれから語られるのだろう。来週はいよいよ、10年前に別れるに至った理由から、「守るって何?」という問いの真相までが明かされるかもしれない。そして美和子の心の中には、まだ大きな違和感が残っている。それは父親が言っていた「おばさんは結婚してないから、家庭を持って子どもを育てるという仕事の代わりに打ち込むものが必要なんだろうな。孤独で悲しいよな」という言葉。美和子が自分の心と向き合い、答えを出していく過程で、これまで相手を見て理解することが苦手だった向井くんがどう寄り添っていけるか。『こっち向いてよ向井くん』は、恋と寂しさという究極の問いに切り込んでいく。
■放送情報
『こっち向いてよ向井くん』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:赤楚衛二、生田絵梨花、岡山天音、藤原さくら、財前直見、森脇健児、内藤秀一郎、上地春奈、岩井拳士朗、若林時英、田辺桃子、久間田琳加、市原隼人、波瑠
原作:ねむようこ『こっち向いてよ向井くん』(祥伝社フィールコミックス)
脚本:渡邉真子
演出:草野翔吾、茂山佳則ほか
音楽:FUKUSHIGE MARI
チーフプロデューサー:三上絵里子
プロデューサー:鈴木将大、柳内久仁子、妙円園洋輝
協力プロデューサー:福井芽衣
制作協力:AX-ON、ダブ
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
©︎ねむようこ/祥伝社フィールコミックス
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