『連続ドラマW 両刃の斧』は柴田恭兵の最高傑作に 井浦新が明かした最終話の撮影裏話

『両刃の斧』は柴田恭兵の最高傑作に

 DVD-BOXの特典映像には、井浦と森義隆監督(映画『聖の青春』など)の対談が収録され、そこで2人が柴田の演技を絶賛している。「最初に、柴田さんがこの作品をラブストーリーだと解釈してくれた」と森監督。まさしく、一見サスペンスに見えて、人間ドラマとしては柴崎と妻・三輪子が愛する娘を失った悲しみを抱えながら強く思い合うラブストーリーになっている。自分の死を間近に感じている三輪子に対し、長女を殺した犯人を見つけられないままに妻を死なせるわけにはいかないと焦る柴崎。それが優秀な刑事だった彼の失敗を誘い、容疑者にしてしまうという展開も上手い。

 井浦も「愛の物語というのがみんなのテーマになっていましたよね。苦しくて背負いきれないものがありながらも、みんなが家族や恋人、誰かを想うということが、共通認識になっていた」とコメントしている。

 また、森監督は、柴田が「使わなくていいよ」と言いながら、自分で10行、20行の「しっかりしたセリフ」を書いてきて台本にプラスした場面があることを明かす。役者がセリフを創ってくるというのはなかなかないことだが、共演者の前で柴田がこうしたセリフを言って演じたことが、みんなが柴崎という人間を深く理解するのにつながったという。犯罪被害者支援センターの会など、そういった場面がいくつもあり、森監督は「あまりにすばらしい演技なので、結果的にほとんどの場面で柴田さんのセリフを採用した」と語る。

 井浦も「感情をさらけ出して、むきだしでやっている先輩(柴田)はかっこよすぎた」「恭兵さんにはこの作品に対してあふれ出るものがあるから、僕はそれを見届けようと……とにかく食らいついていこうと思っていた」と振り返るが、川澄と柴崎が刑事と容疑者として対峙する最終話のシーンでは、自分のほうが追い込まれ、3日間、膨大なセリフ量と闘ったという。クランクアップのときは「精神的にも肉体的にも技術的にも、本当に自分のギリギリのところまで挑戦させてもらえたことを感謝しています」とあいさつしていた。その様子も特典映像に収録されている。

 柴田と井浦をはじめ、妻役の風吹ジュンと高岡早紀、そして若手の奈緒と坂東龍汰まで、キャスト全員がリアリティのある演技でこの世界観に引き込む。スマホをいじる手を止めて集中し、全6話を一気に見たくなる秀作だ。

■リリース情報
『連続ドラマW 両刃の斧』DVD-BOX
8月2日(水)発売
価格:12,870円(税込)

【特典映像】
・井浦新×森義隆 特別対談
・完成披露試写会舞台挨拶
・特報
・TVスポット集

出演:井浦新、柴田恭兵、奈緒、坂東龍汰、見上愛、長澤樹、波岡一喜、高橋メアリージュン、宇野祥平、黒田大輔、ルー大柴、手塚理美、内田慈、カトウシンスケ、信太昌之、川瀬陽太、ベンガル、高岡早紀、風吹ジュン
原作:大門剛明『両刃の斧』(中公文庫)
監督:森義隆
脚本:鈴木謙一
音楽:大間々昂
発売元・販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング
©2022 WOWOW INC.

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