『らんまん』万太郎が朝焼けの中で見た“花”の意味 田邊との決定的な違いが浮き彫りに

『らんまん』万太郎と田邊の分岐を象徴する花

 夢だった植物図鑑を、田邊に「私も作ることにした」とまで言われてしまった万太郎。自分が頑張って完成させた土佐の植物目録と標本500点、そして夢まで奪われてしまうのか。身分も地位も、何もない彼から植物学さえ奪おうとする田邊だが、彼に唯一奪えないものがあった。それは、万太郎の植物をただ愛する気持ち。「ただ好きという気持ち」、そのものは万太郎が万太郎であり続ける限り、誰にも奪われない。

 一晩中歩いて帰ってきた彼に、「何をしていたの」「どこに行っていたの」など一切聞かず、その様子から全てを悟った寿恵子。

「万太郎さんは終わらない、終わるもんですか」

 そこで差し込む朝焼けの中、万太郎と寿恵子の娘・園子がスミレを見つけた。今回を含め、園子を演じる赤ちゃんの豊かな表情を切り取るカメラワークが素敵だ。光の中で咲いているのは、週タイトルにもなっている「ヒメスミレ」。それは暗闇を彷徨っていた万太郎が気づくことができた希望や未来――、すなわち自分の子である園子と寿恵子、そしてお腹の中にいる赤ちゃんなのだ。それを覚えている限り、万太郎は確かに“終わらない”だろう。家の中でも、長屋でも、大学でも、彼の周りにはいつだって綺麗な“花”が咲いている。そのことに気づく万太郎と、気づかない田邊の分岐点となる回だった。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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