『愛しのクノール』は『オクジャ/okja』の問いにリンク キュートで現代性のある名作に

『愛しのクノール』と『オクジャ』のリンク

 本作はマッシャ・ハルバースタッドによるオランダのストップモーション・アニメなのだが、その完成度の高さには目を見張るものがある。自転車を漕いでいる様子やダンスをしているシーンなど大きな動きの表現はもちろん、登場人物たちのちょっぴり複雑な関係性を表す些細な表情の変化も上手く表現されている(ちなみにクノールは終始う◯ちを笑顔で撒き散らす。かわいい!)。余計なものが削ぎ落とされているため、感情の機微が掴みやすいのだ。

 むしろ、それこそが“良さ”なのだろう。平成生まれの私は『ピングー』や『ひつじのショーン』を観て育ち、大人になった今でも『PUI PUI モルカー』を一気見してしまったこともある。ストップモーション・アニメには名作が多く、ついつい画面に熱中してしまう不思議な魅力がある。『愛しのクノール』は現代性のある問題にしれっと答えを提示するラディカルな一面もありつつ、ソーセージが食べたくなる(心温まる)名作だ。

■公開情報
『愛しのクノール』
日本語吹替版:T・ジョイPRINCE品川ほかT・ジョイ、およびイオンシネマ系劇場にて全国公開中
日本語字幕版:7月8日(土)より、ユーロスペースほかにて順次公開
監督:マッシャ・ハルバースタッド
プロデューサー:マルリーン・スロット
原作:トスカ・メンテン『Die Wraak Van Knor/クノールの復讐(原題)』(日本未発売)
声の出演:少女バブス:SILENT SIREN すぅ、スパウトじいちゃん:泉谷しげる、母マルグリート:SILENT SIREN ゆかるん、肉屋のお客さん:SILENT SIREN あいにゃん、父ノール:ユージ、肉屋スマック:杉田智和、クリスおばさん:森本73子、友人ティーン:知念明希保
提供:リスキット、Cell Inc、トムス・エンタテインメント
配給:リスキット
配給協力:Cell Inc
2022/DCP/オランダ映画/オランダ語音声・日本語字幕/日本語吹替/73分/原題:Oink(Knor)
©2022 Viking Film,A Private View
公式サイト:https://knor.info/
公式Twitter:@knor_jp

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