『日曜の夜ぐらいは...』に込められた“労り”への願い 現代人の日常に寄り添う岡田惠和脚本
ミニマムな世界観と丁寧な日常描写を見せてくれる岡田惠和の脚本。『少年寅次郎』や『にじいろカルテ』などでも見られた丁寧な日常描写で、現代を生きる女性3人の特別すぎない人生を表現し、現代人に寄り添う作品となっている。傍観者ではなく、当事者としてドラマを見て、主人公たちを応援してしまうのだ。
私たちの人生には、いつも劇的な困難や幸福が訪れるわけではない。少し悲しいこと、ちょっと嬉しいことが波のように繰り返し訪れ、どんな状況でも日常をこなして生きている。そんな毎日を繰り返しているとわざわざ感情を大きく動かすことがバカらしくもなる。本作は、そんなままならない現実を生きる私たちを映すかのように、丁寧な描写で特別ではない日常が表現されている。まさしく、日曜の夜ぐらいは今を懸命に生きている自分を肯定してあげようと思える作品なのだ。
3人は宝くじに当選したことをきっかけに人生が好転したように見えるが、実際にはそうではない。第4話では大金を手にしたとしても、幸せだとは言い切れないそれぞれの日常が描かれていた。大金だけが人生を豊かなものにしてくれるわけではないのだ。人との出会い、それによって生まれたカフェ開業という夢が、3人の人生を豊かなものへと好転させたのだ。ままならない人生でも、ひょんな出会いときっかけが人生を素敵なものにしてくれるということを、私たちに示している。
本作は、現代人の特別ではない日常が丁寧に切り取られ、ナチュラルな表現で描かれている。そこには、日曜の夜ぐらいはゆったりとした気持ちで日常への想いを馳せ、自分を労わってほしいという願いが込められているのかもしれない。3人がカフェにサンデイズと名付け、日曜日の夜に寄り添うカフェを開業しようと決めたように。
■放送情報
『日曜の夜ぐらいは...』
ABCテレビ・テレビ朝日系にて、毎週日曜22:00〜放送
出演:清野菜名、岸井ゆきの、生見愛瑠、岡山天音、川村壱馬(THE RAMPAGE)、やついいちろう(エレキコミック)、今立進(エレキコミック)、椿鬼奴、飛永翼(ラバーガール)、橋本じゅん、和久井映見、宮本信子ほか
脚本:岡田惠和
演出:新城毅彦、朝比奈陽子、高橋由妃、中村圭良
企画・プロデュース:清水一幸
プロデューサー 山崎宏太、山口正紘、郷田悠(FCC)、浅野澄美(FCC)
制作協力:FCC
制作著作:ABCテレビ
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