『らんまん』竹雄「もう若を当主とは思いません」 志尊淳が表現した細やかな感情の機微

『らんまん』志尊淳が感情の機微を表現

 『らんまん』(NHK総合)第48話で、万太郎(神木隆之介)は竹雄(志尊淳)から「わし、佐川に帰ろうと思います」と告げられた。万太郎は戸惑いを隠せない。そんな万太郎を見て、竹雄は「うそですき!」と言った。あっけにとられる万太郎に、竹雄は「若が住み込みで働く言うたきお返しです」「わしの気持ちが分かりましたか?」と問いかけた。

 竹雄を演じている志尊のきめ細かい感情表現が印象的な回となった。

 前話で竹雄が佐川へ帰ってしまうのではと思われたが、竹雄は万太郎とともに走る道を選ぶ。もっとも竹雄が万太郎に伝えたかったのは、万太郎らしい方法で前進してほしいということだ。

(右側奥)槙野万太郎役・神木隆之介

「若のえいとこはニコニコしゆうところです」
「ちゃんと寝て、食べて、ピカピカ笑うちょってください」
「それが若の全速力ですき」

 竹雄は幼い頃からずっと万太郎を支えてきた。そんな竹雄が万太郎に思いを伝える場面での、竹雄のまっすぐな眼差しと万太郎の全速力を後押しするような笑顔が心に残る。

 竹雄は万太郎の夢を応援するため、これからは“若”ではなく“万太郎”と呼ぶことを宣言した。「わしはもう若を当主とは思いませんきね。ただの槙野万太郎と思いますきね」と伝えると、竹雄は「万太郎」と呼ぶ。決意を新たにしたとき、竹雄の表情は意地を張っているようにも見えたが、名前で呼ぶことの不慣れさや照れくささが表れていたのではないだろうか。万太郎と竹雄はお互いの名前を楽しそうに呼び合う。“若”と“お目付け役”だったこれまでの関係が対等な間柄となったことで、かえって親密さが深まったのが面白い。大畑印刷所に通い始めた万太郎は、竹雄との約束を守り、終始ピカピカ笑っていた。

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