『ペンディングトレイン』山田裕貴がこぼした本音 ワームホールの出現に揺れる乗客の心
それぞれが新しい生き方を受け入れようとした矢先、田中(杉本哲太)の思わぬ行動が人々の運命を大きく動かすことになる。『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』(TBS系/以下『ペンディングトレイン』)の第7話では、直哉(山田裕貴)が6号車に移ると言い出した。徐々に変化する5号車内部の人間関係の中で、車両が未来に飛ばされてしまったことの謎が少しずつ明らかになっていく。
紛争以来、荒くれ者が集まる6号車から5号車に移ってこようとする乗客が現れ始める。すると、直哉が6号車に移りたいと言い出した。素直に気持ちを伝えられない直哉は、みんなの面倒を見るのが嫌だ、団体行動が好きではないなどと理由をつけるのだが、紗枝(上白石萌歌)はその言葉を信じていなかった。実際、直哉は自身の大切な商売道具の鋏を賭けて勝利することで、5号車の人々に食糧が行き渡るようにしてくれていたのだ。一方、優斗は山本(萩原聖人)から入手した手帳や、寺崎(松雪泰子)が持ち帰った光る石をヒントに、未来にきた理由を探る。加藤(井之脇海)の大学の教授・蓮見(間宮祥太朗)がこのことを専門的に研究していたことも明らかになり、一気に元の世界に帰れる可能性が高まってきた。しかしいざ帰れるかもしれないとなると、中には複雑な心境の者も……。
第7話では、直哉の本音が明かされた。これまで強がったり捻くれたことばかり言っていた直哉だが、紗枝と気持ちをぶつけ合うことで思わず本音がこぼれる。期待しても裏切られるから、期待しなければいいと思うようになったと言うのだ。その背景には、直哉と達哉(池田優斗)を捨てた母親への複雑な感情もあっただろう。回想シーンの中で、チャイムの音に反応して落胆する直哉の表情と、期待しないようにと5号車を後にする直哉の姿が重なって胸が痛む。直哉は母親を憎みつつも、どこかでまた会いにきてくれるのではないかという淡い期待があったのではないだろうか。同様に、紗枝に対する気持ちを頑なに「恋」だと認めない姿からも、誰かに甘え、心を許すことへの恐怖があるのだと感じる。そんな直哉を優しく抱きしめた紗枝。直哉の心を癒して解放させられるのは紗枝だけなのかもしれない。
第7話の終盤では、ついに元の世界に戻るためのキーとなる「ワームホール」と思しき穴が出現。田中の衝撃的な車両への乱入が引き起こした驚きの展開に、盛り上がりは一気に加速する。ここで気になるのは、乗客の一人ひとりが未来の世界と元の世界のどちらかを選択しないといけないということ。和真(日向亘)は小春(片岡凜)が妊娠している事実を知り、元のような高校生活には戻れないことを知ってしまう。玲奈(古川琴音)は、そもそも未来に残りたいと考えていた。そして優斗(赤楚衛二)は、元の世界に戻って未来を変えることを希望としているのだ。こうして様々な思いがある中でワームホールが見つかった今、それぞれの乗客は何を感じるだろうか。恐怖、希望、今の居場所との決別……。『ペンディングトレイン』は人々の刻一刻と変わりゆく心を丁寧に描写する。
もしも私たちが同じ状況に陥った時に「大切な人の存在を諦めて割り切って進む」か、それとも「存在を信じて希望を胸に頑張る」のか。直哉や優斗からそんな問いかけをされた気がした。前を向く方法は人ぞれぞれだ。目を背けても、解釈の中に希望を見出してもいい。しかしそれでも人は生きていかなければならない。毎週「生きる」ことを突きつける本作に、人生を鼓舞された気持ちだ。
■放送情報
金曜ドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:山田裕貴、赤楚衛二、上白石萌歌、井之脇海、古川琴音、藤原丈一郎(なにわ男子)、日向亘、片岡凜、池田優斗、金澤美穂、宮崎秋人、村田秀亮(とろサーモン)、萩原聖人、ウエンツ瑛士、西垣匠、志田彩良、白石隼也、大西礼芳、坪倉由幸(我が家)、山口紗弥加、前田公輝、濱津隆之、杉本哲太、松雪泰子
脚本:金子ありさ
演出:田中健太、岡本伸吾、加藤尚樹
プロデューサー:宮﨑真佐子、丸山いづみ
編成:吉藤芽衣、平岡紗哉
製作:TBSスパークル、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/p_train823_tbs/
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