『だが、情熱はある』森本慎太郎と富田望生の漫才シーンが圧巻 髙橋海人の絶妙な笑い方も

『だが、情熱はある』森本慎太郎の漫才が圧巻

「みんなそうじゃないですか? 隠してるだけで。嫉妬とかヤキモチとか、妬み嫉みとか。みんな持ってますよ」

 『だが、情熱はある』(日本テレビ系)第7話、花鈴(渋谷凪咲)の言葉に強く共感した。振り返ってみると、誰にでも経験があるだろう。嫌味を言われて傷つき、モヤモヤして眠れなかった夜。それでも傷ついたまま終わるのはなんだか悔しくて、「あいつを見返してやる!」と奮起したことが。本作の公式サイトにもあるように、悔しさは、燃料にできるのだ。

 生きていたら、誰も傷つけない、誰からも傷つけられないなんてことはできない。みんな少しずつ、他人のちょっぴり嫌なところに目をつぶりながら生きている。ただ、劇場スタッフから南海キャンディーズへの嫌がらせは、さすがに度を越していた。おかっぱ赤メガネと女子のコンビを見て、「キャラがない」と評価をつけるなんてありえない。しかもまだ始まったばかりなのに、「どうせすぐに飽きられる」と言ってのけたり。正直、ここで山里(森本慎太郎)の心がポキっと折れてしまう可能性だってあったはずだ。

 だが、“妬み嫉みの天才”こと山里は強い。同じ攻撃を受けたとしても、それを原動力に変えられるパワーを持っているのだ。全然仕事がないのに、「明日の仕事めんどくせぇ」と言ってきた同期。学園祭の仕事をしたことがないのを分かっていて、「山里さんは何回行きました?」と聞いてきた後輩。周囲から受けた“負の感情”を、山里は復讐ノートに記し、事あるごとに読み返してきた。

 これまでの山里の行動を通して、“嫌な奴との上手い付き合い方”を教えてもらったような気がする。嫌味なことを言われた時こそ、“ラッキー”と思うことにしてみよう。この境地にたどり着くまでには時間がかかるかもしれないけれど、ちょっとずつ。だって、嫌な奴がこの世界に存在しなかったら、山里はここまでのスターになっていなかったかもしれないのだから。そう考えられるようになれば、“天才”に少し近づけるのではないだろうか。

 南海キャンディーズが『M-1グランプリ』で準優勝を果たして注目を集めていた時、ナイスミドルはまだ闇の渦中にいた。芸人としての仕事はほぼなく、同世代の芸人たちがスターになっていくのをテレビの画面から見ている日々。それでも春日(戸塚純貴)は、「(現状が)本当に楽しいから、どうしたら楽しくないと思えるのか……」なんて本気で悩んでいるのだから面白い。相方の若林(髙橋海人)からしたら、笑っている場合じゃなかったのかもしれないが、いつもポジティブな春日がいたから、若林は闇に飲み込まれずにすんだのかもしれない。やっぱり、オードリーは出会うべくして出会った2人なのだ。

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