『らんまん』みえは「これぞ宮澤エマ」 “凛とした人物”は『罠の戦争』『教場0』でも

『らんまん』みえは「これぞ宮澤エマ」

 豪華俳優陣が出演するNHK連続テレビ小説『らんまん』で、宮澤エマが「これぞ宮澤エマ」を体現している。

 彼女が演じているのは、西村寿恵子(浜辺美波)の叔母で、新橋の料理屋のおかみ・笠崎みえ。宮澤はみえのことを「歯に衣着せぬ物言いが多い、考えが気持ち良いくらいハッキリとした女性」と印象を述べているが(※)、確かに台詞の端々から伝わるチャキチャキ感が、物語のいいアクセントになっていて心地良い。(※)これからさらに増えるであろう寿恵子や姉のまつ(牧瀬里穂)とのやりとりも楽しみだ。宮澤自身も「お二人の優しい柔らかい雰囲気に飲まれない様にツッコんだり、グイグイ引っ張ったり掻き回したりするのが難しくも楽しい」と述べているように、今後もカラッとした性格のみえを快活に演じてほしい。

 特にここ数年、宮澤は、みえのようにクセのある人物や、一本筋の通ったキャラクターを演じることが多いように思う。

 1月期に放送された草彅剛主演のドラマ『罠の戦争』(カンテレ・フジテレビ系)では、鷲津亨(草彅剛)と共闘する週刊誌記者・熊谷由貴を演じた。熊谷は、自分の仕事に信念を持っていて、どんなことがあっても真実を暴こうとする。たとえ、それが世の中をひっくり返すような大事件や不正であっても、とことん追い詰めて、闇を詳らかにしていった。最終回前の鷲津らとのやりとりは鬼気迫るものがあったし、彼女の演技に心を掴まれてしまった人も多いのではないだろうか。

 現在放送中の木村拓哉主演ドラマ『風間公親-教場0-』(フジテレビ系)第2話のメインゲスト・佐柄美幸役も記憶に新しい。いじめが原因で不登校になった息子・研人(川原瑛都)のため、担任の諸田伸枝(山田キヌヲ)のもとに行く美幸。翌日、諸田が遺体で発見されたことで、瓜原潤史(赤楚衛二)、刑事指導官・風間公親(木村拓哉)が彼女に話を聞きにきた。美幸は堂々と「息子のことお調べになったんじゃないんですか?」「どうぞ私を疑ってください」と述べ、瓜原を圧倒する……。劇中で、作業着姿でタバコを吸うシーン、慈愛のこもった目で息子を見つめるシーン、息子のある行動でたまらず涙するシーンなど、名場面も多く、たった1話でとんでもないインパクトを残した。

 このほか、朝ドラや大河ドラマでも重要な役どころを担っている。ミュージカルの世界で結果を残し続けていた彼女が、映像作品で飛躍するきっかけとなった『おちょやん』(2020年度後期/NHK総合)では、竹井栗子を熱演。当初「妖艶な悪女」というイメージだった栗子が、のちに再登場した際には、180度違う人物に。宮澤が、年齢を重ねた栗子を演じてもまったく違和感がなかった。

 2022年に放送された大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合)では実衣役として出演。こちらは、コミカルな役ではあったが、要所で視聴者の涙を誘う演技を見せた。もはや、彼女が出演する作品は安心感しかない!

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