『それパク』眼鏡なしの野間口徹に“ギャップ萌え” クセ強から平凡まで濃すぎる存在感

『それパク』野間口徹に“ギャップ萌え”

 野間口徹といえば、眼鏡がトレードマークの優秀なバイプレーヤーという認識の人が多いだろう。

 ドラマと映画を合わせれば何百本という膨大な数の出演を誇り、舞台も20本以上出演。一度観たら忘れられない風貌で、名前を知らない人でも顔は覚えている。それが野間口徹だ。

 2023年5月現在も、『それってパクリじゃないですか?』(日本テレビ系)のレギュラー出演の他に、『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』(テレビ朝日系)の第3話ゲスト、『合理的にあり得ない ~探偵・上水流涼子の解明』(カンテレ・フジテレビ系)で物語のキーマンとなっているらしき男、『風間公親-教場0-』(フジテレビ系)の第5話ゲストと、4本も出演ドラマがある。

 吉岡秀隆版の『犬神家の一族』(NHK BSプレミアム)でも、いい人なのかなんなのかよくわからない神主をぬるりと演じていた。この10年以上、彼が1本もドラマ出演していないクールを探す方が難しいくらい引く手あまたの俳優なのだ。

 出演数が膨大なので、ひとつひとつの作品にはとても触れきれないが、それでも彼を語る上で絶対に外せない作品がふたつある。

 ひとつは2007年のドラマ『SP 警視庁警備部警護課第四係』(フジテレビ系)。野間口が演じたのは得体の知れない公安部所属の刑事・田中一郎で、主人公の井上薫(岡田准一)と同期であり、時々顔を合わせた時にはアドバイスめいたことを口にする。しかし、彼の能面チックな独特の顔と、淡々とした演技のおかげで、レギュラー放送の最中は信頼し頼っていい相手なのかがわからない。だから映画版で彼がひどい目にあった時には、ひどい目にあったことには同情しつつも「そうか、敵じゃなかったんだ」とちょっと嬉しかった。

 もうひとつは、2014年のドラマ『BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係』(テレビ朝日系)で演じた天才ハッカー・ガーファンクル。サイモン(浜野謙太)&ガーファンクル(野間口徹)というふざけた愛称で活動しているハッカーコンビなのだが、小栗旬演じる石川安吾に興味をひかれ、石川とは頼まれれば情報収集などを協力する間柄。相方のサイモンと常にふざけたゆるいトークを披露する。

 サイモンの“オン・ザ(過ぎる)・眉毛&前髪”と、ガーファンクルの縦長に伸びるボンバーヘアのビジュアルも強烈で、放送中からこのコンビに多くのファンがついた。2017年のスペシャル版の製作が発表された際には、「またサイモンとガーファンクルのコンビが観られる!」と歓喜の声があふれた。本家のサイモン&ガーファンクルを模したふたりの写真(見ると吹き出してしまうという意味で閲覧注意)もいまだに人気だ。

 この2作品のキャラは、彼の淡白で体温の低そうな無表情顔と、少し乾いたトーンの声が“何者なのかよくわからない感”を増し、彼のキャラクターを決定づけていたと思う。正体不明で根底に不気味さを感じさせるくせ者、というような役柄がぴったり合うのだ。

 2021年のドラマ『漂着者』(テレビ朝日系)で演じた、NPO法人を主宰するローゼン岸本などはその集大成とも言えるような不気味なキャラだった(やはり髪型もクセ強すぎだった)。

 だから得体の知れない役が多めではあるけれど、キャリアの途中からは演じるキャラクターにもかなりの幅が出てくる。警察関係者を演じることも多いが、検事、弁護士、喫茶店のマスター、看守、編集者などなど役の職業も七色。架空の国、マンタン王国の皇太子なんてのもハマり過ぎだった。

 2018年のドラマ『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)では、珍しく等身大のサラリーマン、小宮山真一郎を演じた。妻と娘ふたりとの幸せな生活を送っていたはずが、実は家族に内緒で会社を早期退職しているという悩める中年男役(本人はこの役に共感はできなかったらしい)。(※1)感情的に妻とバトルを繰り広げたりと普段より表情の変化も多く、彼の新たな魅力を感じられた。

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