生きづらさを感じている人は『放課後アングラーライフ』を観よ! 頑張る活力に魅せられる

『放課後アングラーライフ』は運命の出会い

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、30年生きて友達が5人しかいない橋本が城定秀夫監督最新作『放課後アングラーライフ』をプッシュします。

『放課後アングラーライフ』

 本作は、釣りを通して友情をはぐくむ女子高生たちの日々を綴り、第26回スニーカー大賞優秀賞を受賞した井上かえる著『女子高生の放課後アングラーライフ』(KADOKAWA刊)を映画化したもの。筆者は今作品に関して原作は未読であるどころか、今回の劇場版で初めて作品の存在を知った。特別な思い入れを持っていなかった私にとって『放課後アングラーライフ』という作品は自分の過去と重なり、現在もたびたび悩まされることが描かれており、いたく感動した。

 主人公の追川めざし(十味)が同級生からイジメの標的にされ、関西の高校に転校するシーンから映画は始まる。登校初日、同じクラスの白木須椎羅(まるぴ)に「これは運命やでっ! めざしちゃん!」と迫られ、断りきれず彼女が会長を務める海釣り同好会「アングラ女子会」にめざしは入会することに。彼女はそこで出会う仲間たち、汐見凪(森ふた葉)、間詰明里(平井珠生)と共に釣りを通して過去を乗り越え成長していく。 

 なぜ筆者が本作に惹かれたかを考えてみると、主人公めざしのキャラクターとしての共感度の高さと仲間たちからかけられる言葉が響いた点にある。めざしはとても気が弱く自分の感情を人に言うことができずに、何でも自分が悪いと思い、「ごめんなさい、頑張ります」と口走ってしまう。この性格はつい「私もそう! わかる」と声を出してしまう人も多いのではないか。自分の居場所が欲しいと思うが、他人と関わることの怖さをいじめにより知ってしまい、心が落ち着かない日々を過ごしている。その後、運命的な出会いをして「アングラ女子会」に入会するのだが、そこで仲間にかけられる言葉にも心を打たれる。「苦手なら苦手と言えばいい。迷惑かけ合って人間生きていくんや」「作り笑いせずに自然でいな」など、めざしが日常を通してのんびりと傷を癒していく姿を観ていると、私も頑張ろうという活力をもらえる。

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