『らんまん』佐久間由衣が痛切に表す“女”の悲哀 神木隆之介は宮野真守と自由の渦中へ

『らんまん』佐久間由衣が痛切に表す女の悲哀

 『らんまん』(NHK総合)第18話で、タキ(松坂慶子)から万太郎(神木隆之介)と夫婦になるように言われた綾(佐久間由衣)はたまらず駆け出した。綾が最初に向かった先は、綾が想いをよせる幸吉(笠松将)のもとだった。タキのもとから立ち去る際、「私にも好きな相手ぐらいおったがよ!」と涙ながらに訴えていた綾は、幸吉の姿を見つけると愛おしげな表情を浮かべた。綾は「幸吉!」と呼びかけるのだが、幸吉の汗をぬぐう女性の姿を見て顔をこわばらせた。「何やりゆうがじゃろう……」と涙ぐむ姿が切ない。

 一方、綾を探す万太郎と竹雄(志尊淳)は、自由民権運動の集会場にたどり着いた。そこで万太郎は、政治結社のリーダー・早川逸馬(宮野真守)と出会う。

 宮野演じる逸馬の堂々たる姿が印象に残る。逸馬は軽やかに登壇すると「よう集まってくれたのう! 同志諸君!」と声を張り上げる。人々が逸馬のもとへ押し寄せるという演出の効果もさることながら、宮野の勇ましい佇まいや通る声にも逸馬のカリスマ性が表れている。

「我ら人民はこれ以上、役立たずの雑草とバカにされ、卑しき民草と踏みにじられてはいかん!」

 気合いの込んだ逸馬の演説に人々が歓声を上げる中、「役立たずの雑草」という単語が引っかかった万太郎は思わず「そりゃあ違う!」と声を上げてしまった。万太郎は壇上に上げられてしまうのだが、逸馬は「演説会は誰が発言してもえい」と言い、周囲をなだめつつ、万太郎の言葉に耳を傾ける。「名もなき草らあはこの世にないき」と話す万太郎は、植物の生き様を語るうちに熱が入り始める。万太郎の情熱は植物に注がれているものだが、逸馬は万太郎に興味を抱いたようだ。「一人一人みんなあ違う! うん……生きる力を持っちゅう!」と熱弁する万太郎を見る逸馬の眼差しには胸の高鳴りが感じられ、その口元には笑みが浮かぶ。

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