『九尾の狐とキケンな同居』ラストは感涙必至 笑って泣ける“977歳差カップル”の日常

『九尾の狐とキケンな同居』ラストは感涙必至

カン・ハンナ&ぺ・イニョクが抜群の存在感を見せる

 ウヨと700年来の知り合いで、九尾の狐から人間になったヤン・ヘソンを演じるのがカン・ハンナだ。クールビューティーな役を演じることが多いハンナだが、今回はそうした面も残しつつ、果敢にコメディに挑戦している。

 ウヨとは適度な距離を保ちつつ生きてきたヘソン。ウヨが唯一感情を出すのがヘソンに対してで、先に人間になったことを自慢するヘソンのことを少しうっとうしく思っている。ヘソンも知性をひけらかすウヨのことを、いけ好かない奴と思っているようだ。

 そんな2人の会話は、ウヨとダムとは違う意味で面白さにあふれている。数々の言い間違いをするヘソンを「文字を覚えるのに何百年もかかった」と鼻で笑うウヨ。そんなウヨに対して「慣用句は苦手なの!」と言い返すヘソンがかわいらしい。たびたび出てくる2人のシーンは、物語の中で良いスパイスになっているのだ。

 そうはいっても長年人間になるため孤独に耐えてきた者同士、通じるものがあり、最終的にウヨはヘソンを頼りにし、ヘソンはあと一歩のところで人間になれないウヨのことを本気で心配する。そしてウヨがダムへの恋心を抱き始めた時には、自分の気持ちにふたをしようとするウヨに対して「私は自分にだけは嘘をつかない」と背中を押すのだ。

 九尾の狐から人間になった女性ということで、美しいけれど浮世離れしたところがあるヘソンを魅力的に演じるハンナは、ダムを演じるヘリ同様に、この作品の中でヒロインの位置にいるといえるだろう。そしてダムの大学の先輩で、多くの女性をたぶらかしてきたケ・ソヌを演じるぺ・イニョクもいい味を出している。

 イニョクといえば『シュルプ』で、キム・ヘスが演じる王妃の長男・世子を演じたり、『なぜオ・スジェなのか』で、ホ・ジュノの息子役を演じ、最終回ではジュノと迫力のシーンを披露したりするなど、活躍が目覚ましい。

 本作では、抜群のルックスで、多くの女性と遊んできたものの、そんな自分に見向きもしないダムに少しずつ心を奪われていく役どころを演じている。最初は面白半分でダムに近づき、デートに誘ったりしていたのだが、次第にダムの一本気な性格と無邪気な笑顔に心を奪われていく。悪友に「ダムを口説き落とせるかどうか、賭けよう」と誘われたことがダムにばれ、徹底的に拒否された時のソヌの表情は見事だった。ソヌもダム同様に、物語の中で「良い男」へと変貌していくので、静かに見守りたい登場人物の一人だ。

ウヨ&ダムの深い絆に最終話は涙

 九尾の狐は人間になるため、仮の姿に化けて人間の心臓や肝を食べると言い伝えられている。ダムもウヨと共同生活を始める前、そんな恐ろしい九尾の狐のイメージを抱いていたため、ウヨのことをとても怖がっていた。

 しかし一緒に生活するにつれ、ウヨの優しさにふれたダムが「長老(オルシン)は、人間になったらきっといい人になる」とにっこりしながらつぶやく。

 物語の後半では、いよいよ人間に近づいてきたウヨが、ダムとともに「人間らしさとは何か」を追求していくのだが、実際には2人が予想もしなかった試練が待ち受けている。

 それでもお互いを信じるウヨとダムの姿、とりわけダムの健気さに最終話は涙なしで観ることができない。きっと視聴者の誰もが納得できるエンディングになっていると思うので、最後までウヨとダムの心温まる交流を見守ってほしい。

■配信情報
『九尾の狐とキケンな同居』
Netflixにて配信中

出演:チャン・ギヨン、ヘリ、カン・ハンナ
原作・制作:ナム・ソンウ、ペク・ソヌ、チェ・ボリム、パク・ジュンファ
(写真はtvN公式サイトより)

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