『九尾の狐とキケンな同居』ラストは感涙必至 笑って泣ける“977歳差カップル”の日常
『九尾の狐とキケンな同居』が、Netflixで配信スタートした。
『LINEマンガ』連載の同名マンガをドラマ化した本作は、999歳の九尾の狐、シン・ウヨ(チャン・ギヨン)と22歳の大学生、イ・ダム(イ・ヘリ)が、ひょんなことから同居生活を始めることになるファンタジーラブコメディだ。
主演のチャン・ギヨンとイ・ヘリ、そして九尾の狐から人間になったヤン・ヘソンを演じるカン・ハンナ、ダムの先輩ケ・ソヌを演じるぺ・イニョクら共演者の魅力がつまった笑いあり、涙ありの本作の見どころを紹介したい。(以下、ネタバレあり)
チャン・ギヨン&イ・ヘリの977歳差カップル
九尾の狐とは、9本の尾を持つ狐の妖怪と言い伝えられている生き物だ。
現代に生きる999歳の九尾の狐、シン・ウヨは、人間になることを目標に人間の精気を集めて生きてきた。1000歳までに人間になる必要があるウヨは、ある日酔っ払った友人ト・ジェジン(キム・ドワン)を介抱している大学生、イ・ダムと出会う。
ダムがつまずいて転びそうになったところをウヨが支えたことで、これまでウヨが人間の精気を集めてきた赤い玉が飛び出し、ダムの体の中に入ってしまう。ウヨは赤い玉を取り出すため、ダムに共同生活を提案する。
『今、別れの途中です』『恋愛ワードを入力してください~Search WWW~』で不動の人気をものにしたチャン・ギヨンが、人間ではない役でラブストーリーに挑んでいるが、今回の役どころは、ファンにとってはたまらないおいしい役どころなのではないだろうか。
なぜならば、999年生きてきたという役なので、さまざまな時代の衣装を着るギヨンが堪能できるからだ。武官となって戦う姿やレトロなスーツに身を包んだ姿など、1つの作品でこれだけバラエティーに富んだ姿を見ることができるのは、なかなかない。
そしてギヨンが演じるウヨは、頻繁に「人間の真似をしているだけだから、人間が感じることは分からない」と言う。いい意味でも悪い意味でも「ウヨに感情はない」という設定なので、クールな表情を見せることが多い。しかしダムと生活をするようになり、その開けっぴろげな性格を目の当たりにしてウヨが思わず微笑んでしまうのだが、そのギャップにキュンとする人もいることだろう。
個人的にツボに入ったのは、ウヨの歩き方だ。見た目は若くてイケメンなのだが、999歳らしさを出そうとしたのか、手を後ろに組んでおじいさんのようにゆっくり歩く。これがなかなか様になっているのだ。
そしてダムを演じるイ・ヘリの弾けた演技がみずみずしくて良い。今時の大学生らしさを残しつつ、自分の意見をしっかり持った22歳を生き生きと演じている。「人生はセルフ」という家訓を掲げるキャリアウーマンの母親に育てられただけあって、とても前向きな人物だ。
そんなダムだから、ウヨが九尾の狐であることやウヨの大切な赤い玉を飲み込んでしまったことを半信半疑になりながらも受け入れ、共同生活を送っていく。ダムのたくましさがまぶしく、また、ウヨに対して「長老(オルシン)!」と呼びかける姿がキュートなのだ。
本作は全16話で、前半の7話はウヨとダムの共同生活を中心に描き、第8話以降はお互いに恋愛感情を持つようになったウヨとダムが、恋愛を成就させていく姿を描いていく。それに伴い、ウヨを演じるギヨン、ダムを演じるヘリの演技も大きく変化する。 第7話までは、九尾の狐らしくクールな表情を見せることが多いウヨ。そして、大きな口を開けてジャージャー麺を食べるなど「顔芸」を炸裂させ、コメディタッチで演じるダムだが、第8話以降は、ウヨが人間らしい表情をみせるようになり、ダムは大人の女性へと変貌していく。
前半は、977歳差カップルのおかしな日常にゲラゲラ笑ってしまうのだが、後半になるとウヨとダムの優しさ、2人が直面する切ない現実に涙がこぼれてしまう。2人がどんな結末を迎えるのか、丁寧に2人の関係の変化を描いている本作を堪能したい。