『らんまん』寺脇康文が伝える学ぶことの楽しさ 未来の万太郎の原点となるエピソードも
『らんまん』(NHK総合)第8話で、万太郎(小林優仁)は謎の男(寺脇康文)からの「今こそ変わるときだ」という言葉を思い出し、自ら学問所の門をくぐる。万太郎の心を支えるのは、万太郎が大好きな草花だ。腹這いになり、地面に咲く植物をじっと見つめ、「おまんみたいに、踏まれるた〜んび強うなれたらのう……」と呟くと、突然横から「秘密は茎やね!」と謎の男が現れた。
この謎の男こそ、名教館の学頭・池田蘭光だった。寺脇のはつらつとした演技から、学ぶことの楽しさが伝わってくる。
物語冒頭、万太郎に声をかけた蘭光は、植物の不思議な生態を万太郎に教えた。万太郎に植物の生態を教える蘭光のイキイキとした顔つきが印象的だ。蘭光の教えに万太郎は食いつく。植物に名前があることを知った万太郎は、気になる植物を次々指さし、蘭光に教えを乞う。地面を這いつくばる2人の姿は無邪気な子どものようだ。蘭光のはつらつとした話し口は、学問所へ通うことに消極的だった万太郎の心をほぐしていく。決して意図的ではないと思うが、蘭光は学ぶ楽しさを引き出すのがうまい。蘭光と言葉を交わすうち、万太郎はごく自然に学ぶ楽しさを感じ始めていた。
蘭光は万太郎に『本草綱目』という書物を手渡す。1892種類の草花が載っている本なのだが、万太郎は書かれている文字を読むことができない。万太郎はたまらず、幼年組を預かる教師・古沢(中村シユン)に「先生、助けてください!」と駆け寄り、「わし、これが読みたいんです。全部読めるようになりたいんです」と訴えた。この場面で、万太郎は謎の男が学頭であることを知る。