目黒蓮×今田美桜『わたしの幸せな結婚』が放つ異色な魅力 観客を信頼する圧倒的な力技

『わたしの幸せな結婚』が放つ異色な魅力

 端的に言えば、これは観客を存分に信頼していなければできない力技とも判断できる。こうした時代物のファンタジー作品(あるいはライトノベル原作作品)となれば、設定重視でゲーム性・キャラクター性を強く打ち出しずいぶんと安上がりなルックに落ち着いてしまうことも少なくないが、本作はひたすら“見せる”あるいは“魅せる”ことを目的としている。徹頭徹尾“映画”であり続けるのだ。

 VFXはもちろんのこと、六華苑や東郷邸から専修寺にいたるまで興味深い建築物をふんだんに使い、和洋が器用に入り混じった美術と衣装(率直に言って、今田美桜がここまで和装が似合うとは思わなかった)の充実ぶり。結果的にこれが興収18億を超える(※4月2日時点)ヒットとなっている以上、同型の作品が向こう2〜3年は作られつづけることになるだろうが、もうその成否を分ける基準を確立してしまったではないか。

 余談ではあるが、ラストで美世が清霞を迎えに行くシーンがある。車で通勤している清霞にわざわざわ雪が降りそうだからと傘を持ってやってくるのはずいぶんと気を遣いすぎに思えるのだが、次のシーンでしっかり画面に雪が降りしきる。塚原あゆ子監督といえば『アンナチュラル』(TBS系)の第5話でも悲しい雪を降らせ、『コーヒーが冷めないうちに』では冬のシークエンスで雪上を歩くシーンが登場する。今回もここぞという場面に美しい雪が降る。雪が映える映画、雪を撮れる作家ほど信頼が置ける存在はいない。

■公開情報
『わたしの幸せな結婚』
全国公開中
出演:目黒蓮(Snow Man)、今田美桜、渡邊圭祐、大西流星(なにわ男子)、前田旺志郎、髙石あかり、小越勇輝、佐藤新(IMPACTors/ジャニーズJr.)西垣匠、松島庄汰、髙橋大翔、珠城りょう、小林涼子、浜田学、山本未來、山口紗弥加、平山祐介、高橋努、津田健次郎、尾上右近、土屋太鳳(特別出演)、火野正平、石橋蓮司
監督:塚原あゆ子
脚本:菅野友恵
原作:顎木あくみ『わたしの幸せな結婚』(富士見L文庫/KADOKAWA)
※コミカライズ:原作・顎木あくみ/漫画・高坂りと/キャラクター原案・月岡月穂(ガンガンONLINEにて連載中/スクウェア・エニックス)
主題歌:Snow Man「タペストリー」(MENT RECORDING)
制作プロダクション:TBSスパークル
配給:東宝
製作委員会: KADOKAWA、東宝、TBSほか
©︎2023映画『わたしの幸せな結婚』製作委員会
公式サイト:https://watakon-movie.jp
公式Twitter:@watakon_movie
公式Instagram:@watakon_movie

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