『君と世界が終わる日に』S1~S3で刻まれた足跡 新章までの過酷なサバイバルを振り返る
竹内涼真主演のゾンビサバイバル『君と世界が終わる日に』シリーズの最新作となるSeason4が3月19日からHuluにて独占配信される。2021年1月クールに放送されたSeason1は、地上波ゴールデン・プライム帯初の本格ゾンビ作品として反響を呼び、Season2、Season3と合わせて2年連続でHulu総合ランキング、Huluオリジナルランキング、国内ドラマランキングの3冠を達成する大ヒットとなった。この記事ではSeason1から3を振り返りながら、来たるSeason4に向けて本作の見どころを紹介する。
Season1で変わり果てた世界
『君と世界が終わる日に』の舞台は現代の日本。自動車整備工の間宮響(竹内涼真)は、神奈川県の三浦半島で、恋人で研修医の小笠原来美(中条あやみ)と幸せな日々を送っていた。ある日、響はトンネル崩落事故に巻き込まれる。地上に出た時、響の目に映ったのは変わり果てた世界だった。
もし、この世界が終わったら。そんな想像を形にするのが本作である。正体不明のウイルスによって人々はゴーレムと呼ばれる意思を持たない存在になり、交通網や都市機能は壊滅。生き残った人類は肩を寄せ合って絶望的な毎日を過ごしていた。終末世界と呼ぶにふさわしい独特の世界観が、セットやロケ、特殊メイク、CGを駆使することで構築されている。
Season1で響は、後々まで行動をともにする本作の主要メンバーと出会う。警察官で響と来美の同級生である等々力(笠松将)、大学生の佳奈恵(飯豊まりえ)、引っ越し業者の甲本(マキタスポーツ)とアルバイトのミンジュン(キム・ジェヒョン)、三原紹子(安藤玉恵)と結月(横溝菜帆)の親子だ。身寄りのない響たちは、リーダーの本郷(大谷亮平)が撃たれたことで自衛隊に追われる立場となった。
同じ頃、来美は横須賀駐屯地でウイルスを研究する首藤(滝藤賢一)とジアン(玄理)に出会う。来美は響との再会を望みながらも、首藤のワクチン開発に協力するため駐屯地にとどまる。しかしそれは首藤の口実で、本当の目的は来美が持つ特殊な抗体を利用することにあった。各地を放浪する中で、響は坪井(小久保寿人)率いる刀集団と衝突し、侵入した駐屯地でゴーレムになった母・琴子(臼田あさ美)と再会を果たす。響はミンジュンがゴーレムに噛まれる原因となった女性に復讐を誓い、矢で胸を射抜く。それは来美だった。
再会を願う2人が引き裂かれる運命のいたずらと、異様な執念で研究に打ち込む首藤。愛するものをこの世界にとどめようとする両者の対比を通して、本作のテーマが浮き彫りになった。Season1が放送された2021年1月から3月は新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が発令されていた。先の見えない不安はドラマの内容ともリンクし、リアリティを持って迫ってきた。
Season2での想像を超える惨劇
Season2では生存者を収容するシェルター「希望の家」が舞台になった。ようやく来美と再会できた響だったが、首藤による治験が原因で、来美のゴーレム化は着実に進行していた。甲本や紹子たちに続いて希望の家に移った響は、秋吉(本郷奏多)やその母でリーダーの美沙子(濱田マリ)と出会う。古参の収容者との軋轢や食料の欠乏もあり、何者かがゴーレムを招き入れたことからシェルターの平穏な日々は破られる。ウイルスにより記憶喪失に陥った来美のゴーレム化を止める薬を探しに響は福島へと向かう。その間に来美と秋吉が急接近。帰ってきた響を待っていたのは、想像を超える惨劇だった。
『君と世界が終わる日に』という作品全体を通して、家族は大きなテーマの一つであり、Season2ではそのことがより鮮明になった。生き残るための運命共同体が、生活をともにする中で本当の家族のようになっていく。Season1の第7話でミンジュンが響たちに見守られながら「家族みたいだ」と言って息を引き取るシーンや、Season2で甲本と結月が徐々に互いを受け入れていく描写は家族のあり方を問いかけるものだった。絆が深くなった分そこには悲劇もあり、不意の別れも訪れる。大切な人がいなくなっても、それでもこの世界で生きていく意味はあるのかという問題意識はSeason3に引き継がれていく。