『舞いあがれ!』デラシネで福原遥がこらえた涙 舞の言葉が貴司の背中を押す

『舞いあがれ!』舞の言葉が貴司の背中を押す

 『舞いあがれ!』(NHK総合)第94話では、「母娘が立て直した町工場」という記事で、舞(福原遥)やめぐみ(永作博美)、IWAKURAの女性従業員たちが新聞に掲載される。しかし記事に載ったのはIWAKURAの女性たちだけだった。舞は、「母と私と、女性の従業員だけが頑張ったみたいに書いてあんのは……」と御園(山口紗弥加)に思いを打ち明ける。それを聞いた御園は、舞自身がIWAKURAの従業員の思いを発信してみては、と提案する。

 舞がIWAKURAのブログを立ち上げ、従業員たちのインタビューを掲載すると決めた一方で、貴司(赤楚衛二)は「相聞歌」に苦戦している。貴司は物語冒頭、新聞に載った舞の姿を見て穏やかな笑顔を浮かべるのだが、リュー北條(川島潤哉)が書き残したメモに目を落とすと頭を抱えていた。貴司が舞に向けるやわらかな表情にこそ、第93話でリュー北條が述べた「伝えたいけど伝えられない思い」「胸の奥で燃えている恋心」が表れていると感じるが、舞も貴司も、自分の本当の気持ちを相手に伝えることには慣れていない。

 舞は史子(八木莉可子)を前にすると、悄然とした面持ちになってしまう。舞は史子の存在によって自分の本当の気持ちと向き合うことになったが、「短歌」という共通点を持つ史子に引け目を感じている。「うめづ」での史子と雪乃(くわばたりえ)の会話を聞いて、自分を無理やり納得させるように唇を噛み締める表情や、史子から貴司との短歌を通じたやりとりに「心と心が触れ合った気ぃしたんです」と言われ、目に涙が浮かべ、こらえるように笑みを浮かべるさまを見ていると心が苦しくなる。

 その晩、久留美(山下美月)から「今日、星きれいやで」と言われ、窓を開けると目の前に貴司の姿があった。「何で短歌作ってんのか、分からんようになってしもた……」とうつむく貴司を見て、舞が口ずさんだのは、貴司が初めて作った短歌だった。

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