『ザ・グローリー ~輝かしき復讐~』ソン・ヘギョが人生を賭けた復讐劇で新境地を開く
イ・ドヒョンが剣舞を踊る処刑人に
孤独な戦いを続けるドンウンの目の前に現れた形成外科医のチュ・ヨジョンを演じるのがイ・ドヒョンだ。2017年に『刑務所のルールブック』で、チョン・ギョンホが演じる役の高校時代を演じて俳優デビュー。その後数々の注目作に出演し、俳優としての地位を築いてきた。
ヨジョンは、病院長の息子として不自由なく育ってきたが、実父を患者に殺されてしまった悲しい過去がある。明るく装っているが、心の奥底に暗闇を抱えている人物なのだ。
そんな彼が偶然出会ったドンウンに一目惚れをする。そしてドンウンに請われるまま、碁を教えるが恋愛への展開はない。ヨジョンは果敢にアタックするのだが「私に王子様はいらない。必要なのは、剣舞を踊ってくれる処刑人」とドンウンは言い放つ。ヨジョンも闇を抱えているため、そんなドンウンにますますシンパシーを感じていくのだ。
物語中盤でドンウンは、復讐計画をヨジョンに打ち明け、全身の傷跡を見せる。そんなドンウンの姿を見て涙を見せたヨジョンは「剣舞を踊る処刑人になる」とドンウンに告げる。物語の後半で、ヨジョンの過去に何があったのか詳細が明らかになると思うが、ドヒョンがヨジョンの「陽」と「陰」をどのように演じ分けていくのか注目したい。
シリアスな中に、笑えるシーンも
シリアスなシーンが多い本作にもクスッと笑えるウィットに富んだシーンが見受けられる。その一つがドンウンの復讐計画の手伝いをするおばさん、カン・ヒョンナムを演じるヨム・ヘランで、なかなか良い味を出している。
情報を集めるためにゴミをあさっていたドンウンを捕まえたことが最初の出会いだったが、予想に反してヒョンナムはDV夫を殺すことを条件に復讐へ協力することを申し出る。
ドンウンの指示を従順に守り、復讐対象者たちの尾行や情報集めを懸命に行うヒョンナムは「生まれ変わったら女スパイになる!」と意気込み、やがてドンウンに対して親しみを持つようになる。
ヒョンナムと親しくなりすぎることを警戒しているドンウンだが、元来明るい性格だというヒョンナムの「陽」の部分に触れた時には、思わず笑みを浮かべてしまう。笑いをかみ殺す演技をするヘギョが面白く、とてもかわいらしいのだ。
ヘビーなシーンが多い本作において、季節の流れを見せる映像とバックに流れる音楽の美しさ、そしてほんの少し笑えるシーンが緩衝材の役割を果たしてくれる。 そして「剣舞を踊る処刑人」をはじめとした、ヘギョが口にする独特の言い回しが心に響く。ドンウンをいじめる5人組がとことん下品で「このアマ!」「クソ女!」といった低俗なセリフを連発しているからこそ、より一層ヘギョの言葉が際立つのだ。
本格的にドンウンが復讐へ着手するところで前半は終了した。この復讐劇をどんな形で着地させるのか。後半の配信が待ち遠しい。
■配信情報
『ザ・グローリー ~輝かしき復讐~』
Netflixにて全8話独占配信中
出演:ソン・ヘギョ、イ・ドヒョン、イム・ジヨン
演出:アン・ギルホ
脚本:キム・ウンスク