『舞いあがれ!』会社のピンチに高橋克典が見せた社長の器 舞が進路を見つめ直す機会に

『舞いあがれ!』高橋克典が見せた社長の器

 1月5日放送の『舞いあがれ!』(NHK総合)第65話では、不況にあえぐIWAKURAの窮状が描かれた。

 手放すことと離れていくことは、どちらがよりしんどいだろうか。太陽光発電機に使うネジ製作を依頼されたIWAKURAだったが経営は相変わらずピンチで、社長の浩太(高橋克典)は経理の古川(中村靖日)から人員整理を進言される。舞(福原遥)は事務の山田(大浦千佳)との会話で、新たにリストラが行われそうだと聞く。自分が辞めさせられるかもしれないと心配する山田は、何も知らない舞の態度にいらだつ。

 「そういうの、なんかイライラするんですよね。私も沈みそうな船乗ってる仲間って顔されんの。一人だけ救命胴衣着てはんのに」と山田。社長の娘で就職先が決まっている舞の状況を救命胴衣にたとえ、明日どうなるかわからない自分と置かれている立場が違うことをほのめかした。舞も入社が延期になり、リーマンショックの影響を受けているので理不尽な物言いではある。苦しい時に他人の状況まで気が回らないのは仕方ないが、殺伐とした空気が伝わってきた。

 結城(葵揚)のアイデアが実り、試作品はテストをパス。一筋の希望が見えたところで、結城が退職を申し出る。笠巻(古舘寛治)に次ぐ古参の結城はIWAKURAを支えてきた一人で、舞も「章兄ちゃん」としてよく知る存在。第63話で結城は笠巻に転職を相談していたが、それが現実になった。恩を仇で返したと詫びる結城に、浩太は「もう十分恩は返してもろた」と返す。「よそに引き抜かれんのは悔しいけどな、それだけの腕前になったちゅうこっちゃ。誇らしいで」と快く送り出した。

 さまざまな感情が去来する中で、浩太の心中を一言でいうなら「悔しい」になるのだろう。浩太の無念は強いが、結城に向けられたものというよりIWAKURAを立て直せない自身の無力さを責めているように見えた。さんざん悩んだ末に決断した結城の気持ちがわかるから、どうにかしてやれなかったことを悔やんでいるのだ。

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