三池崇史監督の作風と韓国作品・配信作品の過激さが合体 日韓合作『コネクト』の存在価値
映画監督として、世界でも日本でも、かなり独特といえる位置にいる三池崇史監督。商業的なジャンル映画を次々に撮りながら、アート方面にも足を伸ばし、とくにバイオレンスの面で過激な表現をも続けている「鬼才」だ。そして、過激なバイオレンスといえば、韓国映画の得意とするところでもある。では、三池監督に韓国で映像作品を撮らせたらどうなるのか? という試みが、ウェブコミックを原作とした、今回の日韓合作ドラマ『コネクト』である。
ドラマを制作するのは、『愛の不時着』が大ヒットを記録した、スタジオドラゴン。さらに、主演に『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』、『スノードロップ』で人気のチョン・ヘインを迎え、脚本でも日本のNAKA雅MURA、韓国のホ・ダムが手がけるという、両国がタッグを組んだ布陣で、本作『コネクト』が撮りあげられたのだ。ここでは、その内容を追いかけながら、本シリーズの意義を考えてみたい。
物語は、臓器、人体売買のために人間をハントする凶悪な犯罪集団に、たまたま夜道を歩いていた主人公・ハ・ドンス(チョン・ヘイン)が捕まるところから始まる。ヤミの執刀医に腹を裂かれ、両眼を奪われていくドンス……これで彼の生命は終わりを告げたかに思われたが、じつはドンスは超自然的な自己治癒能力を備えた“コネクト”という存在だった。引き裂かれた肉体同士は再び結合し、元通りの状態へと回復を始める。このゴア描写は容赦がないとともに荒唐無稽で、まさに三池監督の作風と韓国の漫画・映画作品、そして配信ならではの過激さが合体することで生まれているといえよう。
まさにマーベル・コミックの“デッドプール”のように不死身な肉体を持った主人公ドンスは、驚異的な回復力で、裂かれた腹や片方の眼を自然に治癒するが、もう一方の片眼は見失ってしまう。しかしその後、彼の意識は、ときおり失われたはずの眼が見ている映像をとらえるようになる。つまり、眼は誰か別人に移植されていて、その視覚が遠隔でドンスのところにまで届いていたのだ。その人物から眼を取り戻すため、ドンスはソウルの街で捜査を始めることになる。
一方、同じソウルの街では、あまりにも異常な猟奇殺人事件が連続していた。人間を殺害し、その死体をアートであるかのように飾り付け、野外に展示するのである。それは、『悪魔のいけにえ』(1974年)の殺戮者のモデルとなったエド・ゲインの、人間を人間とも思わない残忍な犯行を想起させるものだ。
物語は、さらにコ・ギョンピョ演じる謎めいた会社員、キム・レハ演じる刑事や、キム・ヘジュン演じる、なぜかドンスの手助けをしてくれる不思議な女性などが登場することで、混迷を深めていく。