ヘンリー・カヴィルのスーパーマン降板は誰の判断? 変革が進められていたDCユニバース

ヘンリー・カヴィルのスーパーマン降板を分析

 さらに、ガン監督が関与しなくても、カヴィルのスーパーマンは消える運命だったのではないかということ。2023年6月に公開が予定されている『ザ・フラッシュ』。この作品はガン監督のDCスタジオ入り以前に企画され、また撮影&製作も終わっています。もともとこの作品において、エズラ・ミラー演じるフラッシュによってDCのマルチバース間で大変なことが起こり、新たなDCユニバースが生まれると説明されてきました。

 噂では、「バットマンことブルース・ウェインがベン・アフレックからマイケル・キートン版に代わる」「スーパーマンではなくスーパーガール(演じるのはサッシャ・カジェ)が活躍する」と言われていました。つまりそもそも『ザ・フラッシュ』において、スーパーマンがいなくなる可能性はあったわけですね。

 そして、ガン監督の“いま考えている”スーパーマン映画にはヘンリー・カヴィルは出ない、というだけなのではないかということ。カヴィルのスーパーマン引退の声明は、彼がガン監督らと直接ミーティングした結果となっています。カヴィルのコメントを読む限り“もともとガン監督らが就任する前の10月くらいには、DCからスーパーマン復帰を打診されたのにも関わらず……”です。そうであるならばカヴィルが怒り、失望するのもよくわかります。

 その一方、ガン監督がその後に発表したコメントでは、いま考えているスーパーマン映画は“若いスーパーマンの話”だそうです。ガン監督らとカヴィルがどういう話をしたかわかりませんが、ガン監督は“いま自分が考えているスーパーマン映画は、若いスーパーマンの話であり、この先若いスーパーマンが基軸になるから、カヴィル版スーパーマンの出番はしばらくない”と言ったのではないでしょうか?

 ただ、ガン監督は『キングダム・カム』(高齢のスーパーマン登場)や『クライシス・オン・インフィニット・アース』(マルチバースを描いた作品)の映画化に興味はあるらしく、ここにカヴィルのスーパーマンが出てきてもおかしくはないです。ガン監督がカヴィルに「君の出番はいまはない。でも将来はあるかも」と言ったのか「もう君の出番はない」では相当ニュアンスが違うでしょうね。

 ですが、カヴィルの気持ちを考えると、ガン監督が将来の含みを持たせた発言をしたとしても、スーパーマンの復活があるという感じだったのに、いきなり梯子をはずされた感じでしょうから「もうスーパーマンはやらない」と言ってしまう気持ちも理解できます。

 個人的に、ヘンリー・カヴィルのスーパーマンは好きだっただけに、今回の出来事は悲しいですね。ただ、もう会えないと思っていたアンドリュー・ガーフィールドのピーター/スパイダーマンと『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』で再会できたし、ブランドン・ラウスのスーパーマンもTVドラマの方で一瞬復活しました。この先、なんらかの形でヘンリー・カヴィルのスーパーマンが再登場する可能性はゼロではない(と信じたい)です。

 なお、ガン監督の“若いスーパーマン映画”ですが、彼は大の犬好きなので、スーパーマンの青年時代=スーパーボーイ時代からの愛犬クリプト(アニメ『DC がんばれ!スーパーペット』の主役)が出てくるかもしれません。

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