『チェンソーマン』アキと姫野のリアルで切ない距離感 ゲロチュー回が描く繊細な人間関係

 Get get get on!  Get get get on! Get on chu! 『チェンソーマン』第7話「キスの味」、観た方にはどんな味だったかお分かりいただけただろう。二日酔いの朝に観るのはなんとも避けたい回だった。

『チェンソーマン』第7話「キスの味」予告&先行カット公開 デンジは永遠の悪魔に飛び込む

テレビ東京系ほかにて放送中のTVアニメ『チェンソーマン』第7話の予告映像と先行カットが公開された。   『少年ジャンプ+』…

 さて、前回のラストでクリフハンガーになっていた永遠の悪魔との戦い。デンジが悪魔内部に潜っていくと同時に、マキシマム ザ ホルモンの「刃渡り2億センチ」が流れ始める演出はカッコいい。しかし、コウモリの悪魔戦の時のように原作でインパクトの強いシーンが引きでとられていることが多く、全体像がミニマムにまとまってしまった印象も否めなかった。加えて、声入りの楽曲を流してしまったことで「永久機関が完成しちまったなアア〜!! これでノーベル賞は俺んモンだぜ〜!!」という、作品の中でも人気の高いセリフも声に声がかぶってしまい、インパクトに欠けてしまったように思える。

『チェンソーマン』第3話ノンクレジットエンディング / CHAINSAW MAN #3 Ending│マキシマム ザ ホルモン 「刃渡り2億センチ」

 最終的にデンジの拷問は3日間続き、永遠の悪魔が自分の心臓を差し出すことで一件落着した永遠の悪魔編。このアークは並行して、「姫野とアキ」編と言っても過言ではないくらい2人の関係性を丁寧に描いていた。第7話でもデンジの戦いぶりを見た姫野が、岸辺との会話に始まりアキを公安から離れさせようとしていた過去を思い返す。彼女の回想シーンは、全てが彼女のアキに対する想いでしかない。彼女の瞳の中にアキが映り続けているように、彼女が本当にずっと彼のことを考えている。タバコをめぐって「依存するものがあるっていいよね〜」と話をしていたが、この章を通して姫野が本当に依存しているものがアキであることが明確に描かれているのだ。

 『チェンソーマン』はバトルアクション作品といえばそうだが、登場人物それぞれの思惑の交差がかなり緻密に描かれている点も強い魅力である。3日間の戦いが終わって「疲れたから寝る」というシーンでも、自然に布団の中に入ってきて自分の頭を抱いて寝る姫野に対して、アキは照れるわけでも驚くわけでも、抵抗するわけでもなかった。2人が一緒に寝ることに慣れていそうな、この小さな描写で彼らの関係性の内訳が想像できるのが良い。ただ、この2人の関係性はある意味かなり現実味があって、姫野側になってしまう女の子は共感性が高くて爆発するし、アキ側をやったことがある男の子は都合が悪くて目を逸らしてしまうんじゃないか。

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