『僕のワンダフル・ジャーニー』再び生まれ変わりの旅へ ベイリーの献身的な愛が伝播する
11月1日は、“ワンワンワン”と鳴く犬の日。当日はSNSで「#犬の日」というハッシュタグとともに愛犬の写真やイラストを投稿する人も多く、大いに癒された。そんな中、さらに犬愛高まること間違いなしの映画『僕のワンダフル・ジャーニー』が、11月4日の日本テレビ系『金曜ロードショー』枠にて地上波初放送となる。
太古から共生関係を築いてきた人間と犬。その種を超えた友愛は『南極物語』(1983年)、『名犬ラッシー』(2005年)、『犬と私の10の約束』(2008年)、『HACHI 約束の犬』(2009年)など、各国の映画で描かれてきた。特に、傑作と名高いのが2017年に公開された米映画『僕のワンダフル・ライフ』だ。
同作は、『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』や『HACHI 約束の犬』で知られるラッセ・ハルストレム監督が、W・ブルース・キャメロンのベストセラー小説を実写映画化したもの。愛する飼い主の少年イーサンに再び巡り会うため、生まれ変わりを繰り返す犬・ベイリーの奮闘が描かれた。興行収入は約10億円。同ジャンルの映画としては異例の数字だ。
動物を題材にした映画は子どもも大人も楽しめるため、人気ではあるが、一方で敬遠する人も多い。というのも、犬猫をはじめとしたペットたちは人間よりも寿命が短く、多くの場合は作中でも彼らとの別れの瞬間が訪れる。そのため、いわゆる“お涙頂戴”の物語になりかねないからだ。
もちろん、『僕のワンダフル・ライフ』も少なからずその要素はある。また生まれ変わることは分かっていても、ベイリーが1つの“犬生”を終える度にどうしても涙が溢れてしまう。一度でも動物を飼った経験があれば、なおさらだ。だけど、不思議と悲しい気持ちでいっぱいになることはない。
あくまでもベイリーが主人公となって展開されるこの映画では、ジョシュ・ギャッド(日本語吹き替え:高木渉)のナレーションでベイリーの“心の声”が語られる。犬目線のそれは人間からすると新鮮かつシュールで、ユーモア溢れるギャッドや高木の語り口調も相まって微笑ましい。コミカルなシーンもたくさんあるため、涙の分だけ笑いも込み上げてくる。見終わった後はほっこりした気分と、あたたかい感動に包まれる作品だ。
何より面白いのは、ベイリーがベイリーなりに「生まれてきた意味」を模索しているところ。3度目の生まれ変わりでようやくイーサンに再会できたベイリーは、最後にこんなことを語る。
「犬生を繰り返してきて学んだのは、もちろん楽しむこと。困っている人を探し、救うこと。好きな人を舐め、過去をいつまでも悲しまず、未来を憂いもしない。ただ今を生きる。今を一緒に生きる」