『祈りのカルテ』サブタイトル“謎解き”の本領が発揮 6人の研修医たちが医者を志した理由
裕也(矢本悠馬)と2人で総合診療科の研修をしていた良太(玉森裕太)。そこへやってきたのは、脳神経内科や婦人科などでも診断ができなかった工藤香織(堀田真由)という患者だ。仕事で大きなプロジェクトのプレゼンを控えたなか、突然手指の痺れに襲われ倒れてしまったというのだ。同僚に毒を盛られたと言い出す香織だが、血液検査でも毒物は一切検出されず。シャーロック・ホームズ気取りの指導医・榊(小手伸也)は、良太と裕也にこの“謎”を解決するように持ちかけるのである。
10月29日に放送された『祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録』(日本テレビ系)第4話の舞台となるのは、総合診療科。他の科で診断がつかなかった患者を専門に診る役割を果たし、テレビドラマの題材としては10年以上前にTBS系列で放送されていた東山紀之主演の『GM 踊るドクター』という作品で過去に扱われたことがある。患者の症状からその病が何であるのかを見つけ出すという点において、患者に主眼を置いた医療ミステリーのジャンルとの相性は抜群であり、まさにこのドラマのサブタイトルにある“謎解き”という部分の本領が発揮されるというわけだ。
これまでのエピソードでは、患者本人が抱え込んでいる秘密へとフォーカスが当てられてきたわけだが、今回の前半はその患者自身もわからない病気の正体を探ることに費やされていく。四肢が震え、強い腹痛が起きる。検査をしても異常はまったく見つからず、仕事のために勝手に退院をしてしまう香織。良太は自律神経障害か過換気症候群の可能性を考えるが、榊はそれを証明する手かがりが必要であると助言する。この榊、ホームズ気取りのかなり個性的なドクターではあるが「謎解き(=診断のことである)に決めつけは禁物」と、非常にまともなことを宣うではないか。
しかも再び職場で倒れて運び込まれた香織の様子を見て、即座にブドウ糖とヘムを投入。彼女の謎が「急性間欠性ポルフィリン症」であることを見抜くというなかなかのキレ者ぶりを発揮する。これはタンパク質の主成分であるヘムの産生に関わる酵素が欠損して起こる疾患で、多くの場合は症状が現れないものの、薬やアルコール、ストレスなどを引き金にして腹痛などの急性発作が起こるとされている。診断が下れば今度は良太の出番、つまりはカルテの出番である。入院中の彼女がなぜまた発作を起こしてしまったのかが探られ、患者本人ではなくその母親が秘密、すなわち娘を思いすぎていた事実がわかった。
総合診療科が持ち合わせている病を見つけ出すというミステリー性と、このドラマの基本であるカルテが教えてくれるヒューマンミステリーがうまく交わり、患者のドラマが強固に構成される。それが親子の関係というテーマにつながることで、裕也とその父である冴木(椎名桔平)の関係や、良太と義理の父である幸一(矢柴俊博)の関係へと波及し、さらに「なぜ医者を志したのか」という6人の研修医たちそれぞれが持つドラマへと導かれていく。研修医室で横並びに座るショットとラストで裕也を励ますやりとりは、6人の結束の強さと今後の彼らの物語への期待を一気に高めてくれる。
■放送情報
土曜ドラマ『祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜放送
出演:玉森裕太、池田エライザ、矢本悠馬、濱津隆之、堀未央奈、YU、松雪泰子、椎名桔平
原作:知念実希人『祈りのカルテ』シリーズ(角川文庫/KADOKAWA)
脚本:根本ノンジ
演出:狩山俊輔、池田千尋
チーフプロデューサー:田中宏史
プロデューサー:藤森真実、戸倉亮爾(AX-ON)
音楽:サキタハヂメ
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
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