『ジャパニーズスタイル』が挑む“本格シットコム”とは 日本での発展の歴史を徹底解説

『ジャパニーズスタイル』シットコム解説

 その後、2010年代には、バカリズムや東京03・飯塚悟志も脚本に携わった『ウレロ☆』シリーズ(2011年〜2019年/テレビ東京系)や、バカリズムが脚本を手掛け、現在もHuluにて同シリーズが配信されている『住住』(2017/日本テレビ系)、シソンヌ・じろうが脚本を手掛けた『寝ないの?小山内三兄弟』(2019年)、そして同じく、シソンヌ・じろうとハナコ・秋山寛貴などが脚本に携わった『でっけぇ風呂場で待ってます』(2021年/日本テレビ)などコント職人の手によるシットコム作品が数多く、生まれている。いずれも、『ゴッドタン』(テレビ東京)、『あちこちオードリー』(テレビ東京)などでお馴染みの元テレビ東京のプロデューサー佐久間宣行や、『有吉の壁』『マツコ会議』などの演出を手掛ける日本テレビのディレクター橋本和明が企画や演出に携わっている(ちなみに橋本和明はジョビジョバからの影響を公言している)。

 そして、そんな2人がタッグを組んだのが『イザミと東京03』(日本テレビ系)である。「コントドラマ」という呼び方をしているものの、全4話、同じシチュエーションで進み、笑い声が入る構成はシットコムと呼んでも良いだろう。(同じタッグで作られた『東京03とスタア』(2021年/日本テレビ系)は各話、別々のシチュエーションが描かれたのでシットコムとは言いにくい)『イザミと東京03』にはVTuberを演じるキャラクターが登場するが、テレビ東京では、過去にはVTuberのみが登場する『四月一日さん家の』(2019年)というシットコム風アニメ作品(テレビドラマと銘打たれている)も作られており、『ウレロ☆』シリーズや『寝ないの?小山内三兄弟』での実験的とも言える作り方も併せて『イザミと東京03』に結実したようにも思え、ドラマファンとしては感慨深い。

 ほかにも2020年には、「日本初の本格的シットコム」を『HR』で実現したという三谷幸喜脚本・演出のAmazonプライム・ビデオオリジナル『誰かが、見ている』が配信されている。『HR』と『誰かが、見ている』を並べて観ると、なるほど「観客の(わざとらしい)笑い声が入っている」という点では、この2作だけが、「本格的シットコム」と言えるのかもしれない(個人的には、わざとらしい笑い声に、どうしても気持ちが冷めてしまい、笑いにくかったのが正直なところだが)。

 さて、同じく「本格シットコム」という触れ込みで始まる『ジャパニーズスタイル』は、どのような作品になるのだろうか。少なくとも、脚本の金子茂樹も監督の深川栄洋もシットコムを手掛けたことはないだろう。それが、三谷幸喜が言うような本格的シットコムなのか、はたまた、近年の芸人が手掛けるようなシットコムなのか……。会話劇を得意とする金子茂樹と、人間ドラマ描写に定評がある深川栄洋という組み合わせも含めて、非常に楽しみだ。

■放送情報
『ジャパニーズスタイル』
テレビ朝日系にて、10月22日(土)スタート 毎週土曜23:30~0:00放送
出演:仲野太賀、市川実日子、要潤、KAZMA、石崎ひゅーい、檀れい、柄本明
脚本:金子茂樹
監督:深川栄洋
ゼネラルプロデューサー:三輪祐見子
プロデューサー:竹園元、都築歩、中沢晋
制作著作:テレビ朝日
制作協力:オフィスクレッシェンド
©テレビ朝日

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