『耳をすませば』インタビュー
松坂桃李、10年前から変化した役者としての心構え 「経験を積み重ねていくしかない」
清野菜名と松坂桃李のW主演映画『耳をすませば』が10月14日に公開となった。
1995年にスタジオジブリによってアニメ映画化され大ヒットを記録した、柊あおいによる青春恋愛漫画を、『ROOKIES 卒業』『記憶屋 あなたを忘れない』の平川雄一朗監督が実写映画化した本作。漫画・アニメ映画で描かれた中学生時代の物語はもちろん、完全オリジナルストーリーの10年後の物語が加わった。松坂が演じるのは、大人になった天沢聖司。
アニメ映画は何度も観たという松坂に、本作に込める想いと今後の役者人生について語ってもらった。
共演者と作り出した現場
ーー今回は清野菜名さんとのW主演になります。
松坂桃李(以下、松坂):清野(菜名)さんと共演するのは今回で2回目なんですけど、1回目の共演から時を経て、いろんな経験をお互いしつつ、ご結婚もされて、なんか当時とは違った大人の魅力みたいなものが備わった感じがします。前回は結構暗いトーンの作品だったので、あまり話す機会がなかったんですけど、今回はちゃんとコミュニケーションを取る時間がありました。
――中学生時代の天沢聖司役の中川翼さんはいかがでしたか?
松坂:翼くんは僕の動きにすごく似てるなと思っていて、後々聞くと、監督から僕が出てる作品をとにかく観て、動きとか盗めるものを盗めと言われていたらしいです。「だからか!」と思いました。基本、現在と中学生時代の役柄なので、一緒に出演するシーンはほとんどないんですけど、唯一、一緒に出演するシーンがあって。現場が1日一緒だった時に、やたら見られてるなっていう感じがしたので、「そういうことだったのか」と思いました。
――自分の若い頃を思い出したりしましたか?
松坂:監督の平川(雄一朗)さんが翼くんとコミュニケーション取ってる感じが、僕がちょうど10年ぐらい前に平川さんと『ツナグ』を撮っていたときとちょっとリンクするところがあるなと思いました。演技指導をしていただいたこととか、いろんなことを思い出しました。
10年の空白を演じる
――今回演じる上で、原作やアニメ映画を参考にした部分はありますか?
松坂:映画に関しては、もう本当にどれぐらい観たかわからないぐらい観ています。本当に素晴らしい作品だと思いますし、自分の中で刷り込まれている部分があったので、土台はもうあるというか。ただ10年後の話で、そこから先の延長の部分は自分で作っていかなければならなかったので、監督と清野さんと一緒にセッションして、どう作っていくかが大事でした。映画では描かれていない空白の10年間、会えない遠距離の期間をどう自分の中で埋めていくかという作業が大事だと思いました。
――今回の作品は10年後に再会する話ですけれども、ご自身の中で10年前と比べて変わってきたことや変わらないと思うことはありますか?
松坂:健康志向になったことぐらいですかね。この仕事、自分が体を壊すと本当にいろんな人に迷惑がかかってしまう仕事だと改めて思うので、だからこそ健康でいたいっていう思いが強くなったかもしれないですね。
――演技面など役者としてはいかがですか?
松坂:最近思うのは、これをしたら上手くなるとか、こうすると良いとかっていうのは、もちろんあるんでしょうけど、発声とか滑舌とか何かそういうことを抜いて、お芝居をする表現という意味で言うと、経験を積み重ねていくしかないのかもなとは思います。先輩方を見てると、お芝居の技術がすごいのはもちろんですが、年を積み重ねたからこその空気感や佇まいとかもあると思いますし、やっぱりそこって技術だけではない部分が絶対あるだろうなって思っていて。そういう、どれだけ自分がこの先いろんなことを経験できるかっていうことだと思います。