松坂桃李、10年前から変化した役者としての心構え　「経験を積み重ねていくしかない」

役者人生のスタートとこれから

――作品の中で「夢は変わっていくんだ」というセリフがありますが、自分の中で過去から変わってきた想いはありますか？

松坂：もともと役者に関しては、役者を目指してのスタートではなかったので、いろんな現場を踏ませていただいて徐々に徐々にいろんな人との出会いの中で、「あぁ、この仕事を続けていきたいなぁ」という思いが強くなったっていう感じです。

――今まで俳優をやっていく中で諦めようと思ったことはありますか？

松坂：落ちるところまで落ちて諦めの一歩手前で開き直りに変わるというか。だからなんとか諦めるまでは行かずに済んでるかもしれません。壁にぶち当たったら、もちろん落ち込むんですけど、落ち込んで最終的にその気持ちが裏返るというか、ネガティブな部分が自分の中で底についた瞬間に、ポジティブに変わる瞬間が訪れる時があるんです。そこが諦めるまでに行かないセーフティーラインというか、そこでなんとかやっていけている感じがします。

――本作の主人公・天沢聖司はイタリアに行きます。主題歌を担当されている杏さんも先日海外に移住されることを発表されましたが、松坂さんは海外で活躍したい想いはありますか？

松坂：すごいですよね。僕は、そういう意向は今のところないのですが、海外の方とご一緒する機会もちょっとずつですけど増えていて。『新聞記者』ではシム・ウンギョンさんと共演させていただいたりとか、『流浪の月』では撮影監督でホン（・ギョンピョ）監督とご一緒させていただきました。日本ではない海外ならではの感覚や考え方を持った方々と一緒に仕事をすることで、新しい刺激を受けるのはすごくいい経験だなと思います。だから、そういう機会は逃さず今後も作っていけたらいいなと思います。

――本作ではチェロ演奏者の役ですが、日常生活を過ごされている時も、音楽は身近にありますか？

松坂：あります。最近で言うと『トップガン』のテーマ曲「Danger Zone」は、劇場から出たらずっと頭の中で流れていました。『トップガン マーヴェリック』面白かったです。本当に王道なエンタメの爽快感とスケール感があって、すごくいいものを観させてもらった感じがしました。

――同じ事務所の菅田将暉さんや中村倫也さんはご自身で曲を出されていますが……。

松坂：いや、僕は曲を出したいとかはないです（笑）。絶対にないです。そこは僕の中ではNGとして……多分この先もないと思います。役で歌わされたことは何回かはありますけど（笑）。

――では、やってみたい役や作品は？

松坂：それこそ『トップガン』みたいに、実際にジェット機に乗って撮影してみたりとか、そういうシチュエーションを体験したい、みたいなことはいろいろあります。役というより、シチュエーションですかね。ジェット機に乗るとかでもいいですし、宇宙服を着てみたりとか……。SF系が好きなので、特殊メイクをしてみたり、そういうことの方が強いかもしれないです。日本よりも海外の方が、そういう空に向かう作品って多いと思うので。憧れますよ。

――以前、インタビューで萩原利久さんと豊田裕大さんに松坂桃李さんの印象を聞いたところ、“『遊☆戯☆王』のお兄さん”という答えが返ってきました今でもキングは健在ですか？

松坂：機会はだいぶ減りましたが、今もやめてはないです。ある時からだんだん自分の中で、「菅田のラジオでネタを言うためにこれやってんな」っていう自分もいたりして（笑）。ただやめてはないです。今は、（中村）倫也さんとサバイバルゲームをオンライン上でやったりしています。

――これからなりたい先輩のイメージはありますか？

松坂：どういうふうに見られたいというのもないので、特に。倫也さんや菅田とも全然違うので、みんなそれぞれの個性があっていいのかなと思います。

■公開情報
『耳をすませば』
全国公開中
原作：柊あおい『耳をすませば』（集英社文庫＜コミック版＞刊）
出演：清野菜名、松坂桃李、山田裕貴、内田理央、安原琉那、中川翼、荒木飛羽、住友沙来、音尾琢真、松本まりか、中田圭祐、小林隆、森口瑤子、田中圭、近藤正臣
監督・脚本：平川雄一朗
主題歌：「翼をください」杏（ソニー・ミュージックレーベルズ）
配給：ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント／松竹
©︎柊あおい／集英社 ©︎ 2022『耳をすませば』製作委員会
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