『舞いあがれ!』は“当たり前を見つめ直す物語” 制作統括に聞く、福原遥ら役者陣の魅力

『舞いあがれ!』CPに聞く作品に込めた思い

山下美月、赤楚衛二らの魅力は?

ーー舞の幼なじみとなる山下美月さん演じる望月久留美、赤楚衛二さん演じる梅津貴司はそれぞれどのような存在になっていきますか?

熊野:幼なじみの久留美、貴司は舞にとっての支えになったり、かけがえのない存在としてずっと繋がっていきます。久留美役の山下さんとお会いしての印象は、丁寧にきちんと考えてお話をされる堅実な方というイメージでした。久留美は苦労人で、恵まれた家庭環境には育ってこなかった、自立して生きていくんだというタイプのキャラクターです。ヒロインとは対照的な地に足のついた人物で、舞とは違った目線でお互いのことをちゃんと見て、何かに躓いたりした時に気軽にアドバイスしたり、一緒になって喜んだり、悲しんだりすることができる人。その山下さんの落ち着いた感じが久留美にも合っていて、本人は意識的にやっていると話していましたけど、少し声のトーンも落ち着いた低めの感じにして久留美を演じてくれています。舞をサポートしていく意味でも役柄的に堅実で落ち着いた声を出したり、舞とは違った形で進んでいく久留美を演じていて、幼なじみの関係がどんどん良くなってきていると感じています。赤楚さんが演じる貴司は、朝ドラの幼なじみの男性キャラクターとしてはあまり見ないタイプだと思います。器用に立ち回れる方ではなくて、そこにストレスを感じてしまう繊細な部分のあるキャラクター。貴司もいろいろと悩んだりする中で、舞や久留美との関わりが出てくるんですけど、男らしさとか逞しさとかはない、むしろやや中性的な感じもある彼は、舞が一緒にいて心地がいい、ふと自分の思いを素直に語ったりできる相手として長く関わっていくことになります。赤楚さんは柔らかい笑顔が魅力的ですので、いてくれると心がホッとできる存在だなと感じられるよう大事に描いていきたいなと思っています。そこに赤楚さんはぴったりだなと。

ーー長濱ねるさん演じる山中さくらは、舞が五島に移住した先で出会うことになります。

熊野:ねるさんは元々子供の頃、五島にお住まいだったということもあり、お会いした上で五島に対して持っている強い思い入れを聞かせていただきました。普段取り上げることのできない様々な地域をドラマの舞台としてきちんと描いていくことで、その土地柄やそこに生きている人々を時間をかけて表現することができるのが朝ドラの良いポイントだと思っています。そういう意味では、自分の出身で思い入れもあって、今でも度々訪れている方に参加していただくのはとても大事なことだなと。本人の魅力としても、お部屋に入って来られるだけでほわっと柔らかく、明るくなる雰囲気を持っていらっしゃる。お会いした時にも「五島の言葉でびっくりした時は、あっぱよーって言うんですよ」なんて朗らかに教えてくれたりして。こういう方に五島の人を演じてもらうことが大事なんじゃないかと思い、今回お願いをしました。島の人の大らかさと五島が好きだという思いをストレートにお芝居にも出していただいているので、参加していただいてよかったなと思っています。演じるさくらは、ちょっと面白いキャラクターでもあって、出てくる度に面白い味付けになっていますので、楽しみにしていただけたらと思います。

ーー舞が浪速大学の人力飛行機サークルで出会う高杉真宙さん演じる刈谷博文、さらに航空学校で出会う目黒蓮さん演じる柏木弘明についても教えてください。

熊野:高杉さんが演じる刈谷は、人力飛行機サークルで設計を担当している、ちょっとクセのあるキャラクターです。非常に頭のいい人物なのですが、尖り過ぎていてそれでいてピュアな思い入れが強いからこそ周りとぶつかってしまう、そんな不器用なところがあります。演じているのを見ていても、強気でいく部分と刈谷一人でやればいいのかと思っているかというとそうでもないところが出てきたりして、高杉さん自身のお芝居やキャラクターともハマる部分があるなと感じています。目黒さんが演じる柏木は、エリートパイロット一家の息子ということで、舞の非常にできる同級生として登場します。舞との出会いは、プライドが高かったり取っ付きにくい人という感じなんですけど、航空学校を描く中で実際にモデルとした学校を取材していても、チームワークがパイロットには大事で、チームで連携して初めて飛行機は飛ぶということを叩き込まれるので、柏木が自分だけでは回っていかないことに気づき、舞と一緒に助け合ってチームワークを深めていく中で関係性が変わっていくーー目黒さんの持っている雰囲気と舞との距離を持った感じもいい形で演じていただいていますし、そこが変わった時に出てくるチャーミングさが抜群に素晴らしいので、観てらっしゃる方はキュンとしてしまうと思います。ギャップだったり、彼のプライドが崩れる時に出てくる脆さ、そこを通じて仲間と繋がった時に実はこんな笑顔をするんだとハッとさせられるような部分は、目黒さんがぴったりだなと思っています。そこもお楽しみにしてください。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』
NHK総合にて、10月3日(月)放送開始
総合:午前8:00~8:15、(再放送)12:45~13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30~7:45、(再放送)土曜9:45〜11:00
※土曜は1週間を振り返り
出演:福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月、目黒蓮、長濱ねる、高杉真宙、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、吉谷彩子、鈴木浩介、高畑淳子ほか
作:桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太
音楽:富貴晴美
主題歌:back number 「アイラブユー」
制作統括:熊野律時、管原浩
プロデューサー:上杉忠嗣
演出:田中正、野田雄介、小谷高義、松木健祐ほか
主なロケ予定地:東大阪市、長崎県五島市、新上五島町ほか
写真提供=NHK

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