『ソニック・ザ・ムービー』など相次ぐゲームの実写化 変化する映画業界の行く末を考える

相次ぐゲーム実写化に考える映画業界の行く末

 現在公開中の『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』は、人気ゲームの映画化であり、すでに続編とスピンオフドラマ企画が進行中だ。

 ここ最近、ゲームの映画・ドラマ化企画はかつてないスピードで進行しており、今年だけでも『アンチャーテッド』や『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』などが日本公開されている。

 また、セガが『スペースチャンネル5』『コミックスゾーン』といった代表タイトルの映画化を発表。ソニーは「PlayStation Productions」を設立し、『The Last of Us』や『ゴースト・オブ・ツシマ』『ツイステッド・メタル』『グランツーリスモ』といった作品を現在製作中。ほかにも『ミニオンズ』シリーズで知られるイルミネーションと任天堂が共同制作の『スーパーマリオ』、Netflixでも『ロックマン』や『バイオショック』の映画化企画が進行中。さらに『テトリス』や『パックマン』など、ストーリー性の低い作品まで映画化される。

 これらの企画の多くは最近になって浮上しているように思えるかもしれないが、ゲーム作品の映画化というのは、ここ30年の間で常に企画されてきた。何が変わったかというと、実現率が圧倒的に多くなったのだ。

 『スーパーマリオ』も当初は、『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』(1993年)のリブート版として実写映画化予定であり、その他にも『メトロイド』や『ゼルダの伝説』といった任天堂キャラクターの映画化、ならびにユニバース企画として製作予定だったものや、『メタルギア・ソリッド』や『クレイジータクシー』のように20年前から企画があったものがある。セットまで組んでいた『鬼武者』が中止になったこともあった。このように企画はやたらあがるのに、結局挫折して製作が進まない作品が多かったのだ。

 映像化と言われても信憑性がなかったのが、ゲーム原作映画・ドラマのイメージであったと言っても過言ではない。そんな状態だったものが、なぜこんなにも頻繁に映画化されるようになったのだろうか。それには複数の要素が積み重なっているといえるだろう。

 まず2000年代以降、つまりハリウッドのネタ切れ危機が叫ばれたころに遡る。この時にリメイク、続編、そしてコミックの映画化企画が大量に浮上してくることになる。良くも悪くも今のアメコミ映画ブームもハリウッド低迷期が生んだものだ。ゲームの映画・ドラマ化も例外ではなく、この時期に多く企画されている。

 全く新しい作品を作るよりも、もともと知名度のあるコミックやゲームの映画化が好まれたのだ。始まりとして『ストリートファイター』の再映画化『ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー』(2009年)や『ザ・キング・オブ・ファイターズ』(2009年)、『TEKKEN -鉄拳-』(2009年)などが制作された。比較的映画化しやすい格闘ゲームを原作とした作品だったが、これらが惨敗。

 成功と呼べるのは、ミラ・ジョヴォヴィッチ主演の『バイオハザード』の数作と『名探偵ピカチュウ』(2019年)。そしてすでにドラマ化と続編映画が進行中の『モータルコンバット』(2021年)など、決して多いとは言えず、逆にハードルが高いジャンルにも感じられる。

 VFXの進化の影響も大きい。しかし、ゲーム自体がそもそも映画を参考に作られている作品も多く、映画とゲームのアプローチの差別化によるハードルも高い。その壁を越えきれない作品が圧倒的に多かった。

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