『シスターズ』鬼気迫る狂気を魅せたキム・ゴウン オム・ジウォンとの演技対決シーンも

『シスターズ』狂気魅せたキム・ゴウン

 3女のイネ(パク・ジフ)は、ウォルリョン家の娘ヒョリン(チョン・チェウン)とともにサンアの子どもの頃のアルバムを見ながら、切り取られた人の形を不思議に思う。そしてヒョリンが子どもの頃に遊んだ”閉ざされた部屋“のクローゼットの中に、ヒョリンの絵と同じ赤いハイヒールを履いた人形を見つける。サンアが子どもの頃は明るく優しそうであったこと、切り取られた写真、インジュにサンアが語った言葉、赤いハイヒールを履いた人形と、パズルのピースがどんどん集まり、サンアの精神状態が事件と関係しているのではないかという様相をみせだした。

 3姉妹がそれぞれウォルリョン家と関わる中で、ジェサンが元凶のように見えていたが、オープニングの描写は全てがサンアによるものと見える。緑色のカーテンが開いたと思われたものは舞台の幕である「緞帳」だ。舞台の幕開けとともに、緑のマニキュアを塗った女性の手(サンアの手だろう)がシャンデリアの灯りを燈し、テーブルの上に“泥棒姫”の花を置く。この花が毎回サンアの気にいったキャラクター、舞台の主役なのだろう。

 部屋の壁紙も緑色で、緑はサンアが第5話で騒いでいたドレスの色だ。ドレスが原因で使用人を簡単にクビにしてしまうサンア。性格描写で緑の色を印象づける演出だ。サンアがインジュを面接のときから気に入っていたことを明かすが、サンアにとっては自分のドールハウスで行われるお人形ごっこだ。これまでの死者もサンアの中ではオープニングの鳥かごから外へはじき出した車など、お人形=キャラクターの退場にすぎないのだろう。鳥かごの中に、車、レンガ、青いラン、軍人の人形、金色の玉があるが、軍人の人形が父親の将軍ならば、彼の昏睡状態にサンアが関わっているのかが興味深いところだ。

 危機一髪の状態に追い込まれたキム・ゴウンが魅せた鬼気迫る表情と演技は素晴らしく、サンア役オム・ジウォンとの凄まじい演技対決シーンは、いっときも目が離せないほど緊迫した息を呑むシーンに。キム・ゴウンの虚ろな眼差しに震える声、血を吐くような叫び、狂気の笑みを浮かべるさま、彼女の周りに怒りの焔が立ち昇るのがみえるような彼女が作り出した世界に惹き込まれ圧倒される。圧巻の演技を魅せてくれたキム・ゴウン。窮地をどう切り抜けるのか、ドイルは助けに来るのかを楽しみにしている。

■配信情報
『シスターズ』
Netflixにて配信中
(写真はtvN公式サイトより)

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「海外ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる