『仮面ライダー』でわかる子供たちの“遊び”の変遷 カードダスからオンラインゲームへ

 さてゲームといえば、ゲームそのものをモチーフにしたライダーも存在する。平成シリーズ第18作の『仮面ライダーエグゼイド』(2016年)は、ゲーム病を引き起こすバグスターウイルスに感染した人を治療する研修医、宝生永夢が主人公。「ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!」が決め台詞で、ゲーム的なグラフィックと設定を演出に取り入れて話題になった。ライダーたちが力の回復やエナジー強化に使う小さなメダル型のエナジーアイテムが玩具で発売され、そのまま放送開始年にサービスが始まった筐体「仮面ライダー ブットバソウル」での遊びと、前述のガンバライジングとも連動で使えるものだった。

 そしてTVアニメ『鬼滅の刃』の大ブームと歩調を合わせるかのように登場した令和シリーズ第2作『仮面ライダーセイバー』(2020年)は、まさに剣士のライダー。ベルトに装填された剣を抜刀することで仮面ライダーに変身する若者たちが、所属する組織の正義を疑いながら戦い抜く。通常、仮面ライダーシリーズは前年度の放送期間の中頃には、翌年の企画を練り始めるので、2019年夏頃にはネットで盛り上がりを見せていた『鬼滅の刃』を意識した作品かは定かでない。だが刀を振るうキャラクターに親しみを抱く子どもが増えた頃に始まった『セイバー』は、まさにグッドタイミングだったと言えよう。

 このように、時代の流れと共に開発されるTCGやアーケードゲーム、そしてネット時代のオンラインゲームを連動させたり、子どもたちの間で流行ってる物を目ざとく取り込んだりしながら平成から令和へと仮面ライダーは進化している。今年の『ギーツ』はまだドラマが始まったばかりだが、デザイアグランプリの参加メンバーが牽制しあうことなく語り合ったり、手に入れたアイテムを他人に貸すといった従来の勝ち抜きバトルもののライダーと一風変わった演出をしている。このあたりはオンラインのバトルロイヤルで遊んでいる小学生たちにも興味深く映るのではないだろうか。制作スタッフの手腕と出演者の演技にも注目して行きたい。

■放送情報
『仮面ライダーギーツ』
テレビ朝日系にて、毎週日曜9:00~9:30放送
原作:石ノ森章太郎
脚本:高橋悠也
監督:中澤祥次郎、杉原輝昭ほか
アクション監督:藤田慧
特撮監督:佛田洋
プロデューサー井上千尋、武部直美
制作:テレビ朝日、東映、ADKエモーションズ
©石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

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