『ちむどんどん』暢子が母になる いつの時代も変わらない「すこやかに」という願い

『ちむどんどん』暢子が母になる

 朝ドラでの主人公の結婚・出産は、ストーリーが動く分岐点だ。『ちむどんどん』(NHK総合)第115話では、暢子(黒島結菜)と和彦(宮沢氷魚)夫婦に待望の第一子が誕生し、賢秀(竜星涼)から清恵(佐津川愛美)へのサプライズがあった。

 昭和54年(1979年)の年末。「ちむどんどん」で談笑する房子(原田美枝子)と三郎(片岡鶴太郎)・多江(長野里美)夫妻。3人で来てほしいという暢子のリクエストに、「知らないお客様だけで満席になったら」と答えた房子が、約束どおり来店したのだ。開店と休業のあわただしい一年を経て、厨房の矢作(井之脇海)も充実の表情を見せる。暢子に向かって「ありがとう。今までいろいろすまなかった」と頭を下げると、暢子も「矢作さんがいなかったら、ここまでやってこられなかったと思います」と笑顔で返す。「アッラ・フォンターナ」で出会って7年。わだかまりは解けて、暢子と矢作は最高のコンビになった。

 出産を控えた暢子を手伝うため、優子(仲間由紀恵)と良子(川口春奈)が上京。そこに、スーツ姿でめかしこんだ賢秀が、清恵を連れて現れる。比嘉家の面々が見守る中、賢秀は結婚を報告。しかし清恵は聞いておらず、その場で賢秀はプロポーズする。一世一代のイベントが本物のサプライズになってしまうのは、賢秀にとって通常運転だが、結婚指輪を用意できない急ごしらえからは、どうしてもという賢秀の本気が伝わってきた。

 清恵をそっと包み込む優子の優しさも印象的だったが、一人息子を「わがままで、ケンカばかりで、欲張りで、だまされやすくて」と評しつつ、「心のきれいなまっすぐな子」「心がすこやか」と惜しみない愛情を注ぐ母の思いが、当初から一貫して変わっていないことに感銘を受けた。喜びは重なり、産気づいた暢子は予定より早く出産。健彦と名付けられた男の子は、和彦によると「勉強や運動ができなくても、心のきれいなまっすぐな人に育ってくれれば」という願いが込められている。「心がすこやかなら、それで十分」と和彦。いつの時代も親が子に対して抱く思いは変わらないと実感した。

 第24週「ゆし豆腐のセレナーデ」の予告では、成長した健彦(三田一颯)の姿が映し出された。また、智(前田公輝)と歌子(上白石萌歌)の関係にも進展がありそうだ。残り10話、大団円を迎える『ちむどんどん』を見届けたい。

■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK

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