『石子と羽男』自分の幸せが決める“勝ち”と“成功” “話し合えない”羽男と大庭の行方は?
「名のある」場所か、「笑顔でいられる」場所か
事件が解決し、香山が隠れ家にこだわっていた理由も明かされる。それは、商社マンとして連日ロボットのように忙しく働く姿を見かねた亡き妻からの提案だったという。「夢だったお店、やったら?」と。もちろん、稼ぎは減り、生活も不安定になる。それでも、イキイキと毎日を過ごす香山を妻は見たかったに違いない。
商社マンの妻として余裕のある暮らしをすることよりも、自分らしさを貫く夫を支えることのほうが幸せだと感じる妻もいる。それは決して苦労を重ねた内助の功を美談にしているのではなく、人それぞれの価値観があるということだ。傍から見たら疑問を抱くような決断も、本人たちには必然だと思える場合がある。愛する人が自分らしくいられるように、あえて別れを選択することもあるだろう。その人が悔いなく選んだ道であれば、他の人がなんと思おうとそれが“勝ち”なのだ。
洋は香山と妻の間にあった愛と幸せの形を知り、香山は洋の声を聞いて新規客も予約制で受け付けていく。話をしてお互いに譲り合えば、どこか着地点が見い出せるはず。それは綿郎と石子にも言えることだと、さりげなく焚きつける羽男がまたナイスパスを繰り出す。
近い人ほど本音でぶつかるのが怖くなるのは、多くの人が思い当たる話ではないだろうか。遠慮というクッションもなくぶつかってしまい、大きくこじれてしまいそうだからだ。しかし、話ができなければ、ぶつかることもできない。そして、その話し合えない羽男の父・泰助(イッセー尾形)がやって来る。「今の事務所は佳男のふさわしい場所じゃないよ。私が別のところに話をつけてある」と、またもや羽男を自分の価値観の中で「ふさわしい場所」に置こうとする。
羽男がこの数カ月でどんなふうに変わったのか、泰助は知ろうともしない。ブランディングにこだわらなくなったこと。不器用ながらわかりやすい優しさも見せられるようになったこと。石子と一緒なら想定外の状況でも手の震えが起きなくなってきていること……羽男にとってはもう石子のいるこの潮法律事務所こそ、“勝ち”だと思える居心地のいい場所なのに。果たして、羽男はこのピンチをどう切り抜けるのだろうか。石子と協力したら、このラスボス感満載の“話し合えない”父と譲り合うことができるのだろうか。
一方で、妙に羽振りがよくなった大庭(赤楚衛二)が、やはり大きな事件に巻き込まれていることが発覚する。だが「転職先が怪しい」「何か良くないことに利用されそうだ」と心配しながら視聴者も、まさか放火の容疑で逮捕されるなんて予想の斜め上をいく重さだ。しかも予告映像を見ると、羽男が面会しても「話すことはありません」と、こちらも“話し合えない”状態に。せめてぶつかってくれ、大庭よ。誰にどんなに成功を約束されても、笑顔でいられない場所は、きっとあなたにとってふさわしい場所ではないのだから。
■放送情報
金曜ドラマ『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:有村架純、中村倫也、赤楚衛二、おいでやす小田、さだまさし
脚本:西田征史
演出:塚原あゆ子、山本剛義
プロデュース:新井順子
編成:中西真央、松岡洋太
音楽:得田真裕
主題歌:「人間ごっこ」RADWIMPS(Muzinto Records / EMI)
製作:TBSスパークル、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/ishikotohaneo_tbs/
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