『競争の番人』ついに描かれた坂口健太郎の過去 物語は小日向文世との因縁の戦いに突入

『競争の番人』描かれた坂口健太郎の過去

 緑川(大西礼芳)が検察の保管庫で見つけた15年前の死体検案書。それを見せられた小勝負(坂口健太郎)は、そこに本庄(寺島しのぶ)の名前が書かれているのを見つける。いよいよドラマ終盤の大きな山場へと突入した『競争の番人』(フジテレビ系)。8月29日に放送された第8話では、これまで描かれてこなかった小勝負の過去、なぜ彼が公取に入ったのか、そして国交省の藤堂(小日向文世)との因縁。これらが前半およそ30分を使ってしっかりと描かれていく。

 15年前に公正取引委員会の四国支社にいた本庄は、ゼネコン大手の「ラクター建設」による談合疑惑について調べを進めていた。その過程で、ラクター建設ほどの大企業が「小勝負建設」という小さな会社について調査していることに疑問を持った本庄は、同社の社長である小勝負誠(髙橋努)のもとを訪ねる。仕事がないながらも気丈に家族や会社を守ろうとしていた誠。しかしある時、彼はラクター建設の木下(石井正則)から談合への参加を持ちかけられる。そうして新たな仕事を次々と受注するようになる小勝負建設を、本庄は不審に思うようになるのである。

 「この国はブレーキの壊れた列車みたいなもの」。まだ幼かった小勝負に、父が語りかける言葉。そして「誰かが止めなきゃ」という息子の言葉に動かされ、談合に加担したことを本庄に正直に告白する誠。その結果、誠は裏切り者のレッテルを貼られ、ひどい嫌がらせを受けた末に自ら命を絶つのである。死の直前に本庄に伝えたのは、すべてを裏で取り仕切っているのが藤堂であるということ。それから15年の月日が流れ、小勝負が公取に入ったのは藤堂を追い詰めて捕まえるため。まだはっきりとは描かれていないが、本庄の下で働いているという点にもなにか理由があるのかもしれない。

 “談合”にはドラマ冒頭に説明があったように、国や自治体が裏で糸を引く“官製談合”も存在する。もっとも、“談合”は独占禁止法に違反する行為であり、刑法第96条の6第2項でも談合罪が規定されている刑法犯罪である。さらに2003年には官製談合防止法が(劇中で小勝負父の一件が起こる2007年には罰則が強化された改正官製談合防止法が〕施行されたわけだが、それでも一向になくなる気配がない。それは仲間内で持ち回り式に受注することでバランスを取ることなどの“必要悪”的な側面が理由とされているわけだが、それが自由な競争を阻害していることは言うまでもない。

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