『NICE FLIGHT!』恋人同士になった粋と真夢の恋に暗雲が立ち込める 人生の転換期の葛藤
年を重ねるごとに、“一番”にしなければならないものが増えていく。働き始めたら、仕事のことを一番に考えなければならない。結婚したら、そこに家庭のことも加わってくる。子どもが生まれたら、なおさら自分のことだけを考えているわけにはいかなくなるだろう。“私”はひとりしかいないのに、ただただ責任が増えていく日々。果たして、何を“一番”にすればいいのだろう……と葛藤を抱いた経験がある人もいるのではないだろうか。『NICE FLIGHT!』(テレビ朝日系)の登場人物たちも、30代という人生の転換期を迎え、それぞれが一番に大事にしたいもののためにもがいていた。
第6話にして、ようやく恋人同士になった粋(玉森裕太)と真夢(中村アン)。呼び方も、「倉田さん」「渋谷さん」から、「粋」「真夢」に。まずは形から入るところが、初々しくて甘酸っぱい気持ちになる。
想いが通じ合ったことで安心したのか、いつもはクールな真夢も、乙女な表情を見せるようになってきた。職場では、夏目(阿部亮平)やかすみ(玉城ティナ)の“憧れの先輩”でいなければ……と気を張っているのだろう。一方の粋も、たくさんの乗客の命を背負い、日々フライトに臨んでいる。きっと、私たちには想像もつかないようなプレッシャーと戦っているはずだ。
だからこそ、お互いの存在が“癒し”になってくれたらうれしい。どうか、このまま幸せな道を突き進んでくれ! と思ったが、そんな願いも虚しく、2人の仲を引き裂きかねない出来事が。粋が、これまで操縦していた機体から、別の機体へと移行するための訓練を受けることが決まったのだ。国内とアジア中心のナナロクから、世界中を飛び回ることができるナナハチに移行するのは、彼の夢でもあった。
真夢も、応援しなければならないのは分かっている。というより、「一番に知らせたかったから!」とうれしそうにしている粋の姿を見たら、誰だって背中を押したい気持ちになるだろう。
しかし、「移行訓練に入ったパイロットは、プライベートなんてあったもんじゃない。今までみたいに距離を取っていたら、あっという間に音信不通だよ」というCAの理香子(黒川智花)の言葉が、胸に突き刺さる。粋と真夢は、まだ恋人になったばかりだ。長年付き合っていても、関係を持続させていくのがむずかしいと言われているのに、こんな時期に離れなければならないなんて……。
そこで、「大事な時だもん、大丈夫。私も負けないように、勉強しなきゃ」と言える真夢は、やっぱり強いと思った。恋人がいない寂しさを、パワーに変えることができる。粋と真夢は、お互いに高め合うことができるのだろう、と。