『天空の城ラピュタ』に見る宮﨑駿監督の“譲れない部分” 抑えておきたい名シーンの意味
また譲れない部分といえば、1997年に公開された『もののけ姫』にも共通する自然破壊というテーマがある。空に浮かぶ島に昔から存在していて、今もなおそこだけで生きているロボット兵が、島にたどり着いたパズーとシータに花を差し出すシーンも本作における名シーンのひとつだ。
このシーンでは自然破壊を“する側”と“される側”の歩み寄りが描かれている。スタジオジブリはしばしば自身の作品で、そこに元々在った自然に生きるものたちを人為的に破壊することへの異議を唱えている。宮﨑駿監督の『もののけ姫』で描かれた、神聖な森を侵す人間たちに怒る神々たちに同じく、高畑勲監督もニュータウン開発で居場所を追いやられる狸たちの反抗を『平成狸合戦ぽんぽこ』で描き出した。
生き物たちが傷つく姿を描くことでメッセージを伝え続けてきたスタジオジブリは、『天空の城ラピュタ』でも心優しき生命が人間に歩み寄る姿を描き、人々の心に自然との向き合い方を今一度考えるよう訴えかけているのだ。
単なる冒険活劇としてでなく、宮﨑駿監督が自身の手からキャラクターを生み出し、伝えようとし続けてきたメッセージの力強さを感じられる『天空の城ラピュタ』。ぜひ家族揃って楽しみながら、それぞれのシーンに込められた意味を考えてみてほしい。
■放送情報
『天空の城ラピュタ』
日本テレビ系にて、8月12日(金)21:00~23:37放送
※放送枠45分拡大 ※本編ノーカット
原作・脚本・監督:宮﨑駿
プロデューサー:高畑勲
音楽:久石譲
声の出演:田中真弓、横沢啓子、初井言榮、寺田農、永井一郎、常田富士男ほか
(c)1986 Studio Ghibli