『紅の豚』で味わう森山周一郎さんの“粋”な声 ポルコ・ロッソのかっこよさの源を知る

『紅の豚』で味わう森山周一郎さんの粋な声

 『金曜ロードショー』(日本テレビ系)では、先週の『千と千尋の神隠し』に続き、1月14日は『紅の豚』をノーカット放送する。主人公で豚の姿をした主人公=ポルコ・ロッソの声を、昨年肺炎で死去した森山周一郎さんが務め、かっこよさとは何かを追い求めた。また飛行艇というメカニカルな描写や、秘密基地のような隠れ家など男心をくすぐる要素も満載。作品と森山周一郎さんの声の魅力を考える。

一度聴いたら忘れられない、低く深く響く心に残る声

 『紅の豚』は、イタリア空軍のエースパイロットを退き、空賊を相手に賞金稼ぎをしながら気ままに暮らしていたポルコ・ロッソが、ホテル・アドリアーノのマダム・ジーナ、17歳の女性整備士フィオを巻き込んで、宿命のライバルであるカーチスと男を賭けた空中戦を繰り広げる物語。口ひげと黒めがねがトレードマークで見た目が豚の主人公=ポルコ・ロッソの声を、昨年肺炎で死去した森山周一郎さんが務めた。

 森山周一郎さんは、1970年代に人気を博したドラマ『刑事コジャック』の主人公テリー・サバラスをはじめ、ジャン・ギャバン、チャールズ・ブロンソンなど、渋みのある役柄の吹き替えを多く務めていたことで知られている。チャールズ・ブロンソンの声を務める際には、酒とたばこでのどを潰して声を近づけたという逸話も残っている。『リボンの騎士』『タイガーマスク』『ルパン三世』『残響のテロル』などテレビアニメの声優、ゲームでは『ファイナルファンタジー零式』のシド・オールスタイン、『スーパードラゴンボールヒーローズ』のグルメス王などの声優を務めてきた。低音で落ち着いたトーンの声は、渋さがありながら実に聴きやすく、『TRICK』シリーズ(テレビ朝日系)などドラマやテレビCMのナレーションも数多く担当した。

 『紅の豚』で森山さんが演じたポルコ・ロッソは、プロ意識が高く寡黙で冷静沈着な男(豚)。普段は赤く塗られた派手な飛行艇を操り、街に出る時は赤いネクタイを締め、ボルサリーノの帽子とトレンチコート姿という洒落者。酸いも甘いも知り尽くした伊達男といった雰囲気だがうぶな面もあり、17歳のフィオにおやすみのキスをされて顔を真っ赤にする場面もある。

 糸井重里が付けたキャッチコピー「かっこいいということは、こういうことさ。」に象徴される通り、『紅の豚』は男のかっこよさが追求された。無骨でありながら信念を曲げず、女性に対して優しい男たち。そんな男を信じて静かに待つ女=マダム・ジーナと、純真無垢さと無邪気な奔放さを見せるフィオ。物語の随所に“粋”が散りばめられ、“物語を説明するのは無粋”とばかりに、ポルコ・ロッソがなぜ豚になったのかなどの謎は深く追求されない。



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