『オールドルーキー』が描く“支え合うこと”の意味　芳根京子×増田貴久らの関係にも変化が？

　アスリートにとって、怪我は先の見えないトンネルのようなものかもしれない。完治してふたたび競技の舞台に戻る。そのことだけを信じて一日一日を過ごす。バスケットBリーグの新垣和人（浅利陽介）の場合、それは最悪のタイミングで訪れた。

　『オールドルーキー』（TBS系）第6話で、ビクトリーの正社員になった新町（綾野剛）が最初に担当したのが新垣だった。前十字靭帯断裂という大怪我を負って移籍話が消滅した新垣は、現所属チームに居場所がなくなってしまう。もとよりスポーツの世界では定位置が保証されているわけではなく、そんなアスリートの抱えるリスクは怪我によって顕在化する。新町は新垣と契約してくれるチームを探すが……。

　スポーツマネジメントへ転身した新町にとって、正社員になった今が、本当の意味でセカンドキャリアのスタートだ。新町はエージェントとして、新垣の移籍交渉を一手に担うことになる。葛飾（高橋克実）や社長の高柳（反町隆史）の前で新垣の契約延長を宣言した新町に、張り切る気持ちがあったことは間違いない。新町が新垣の現役続行にこだわる理由は他にもあった。J1のチームに所属していた時、左足首を骨折した新町は、無理を押して出た試合でふたたび負傷。それがきっかけでJ1からJ2へ落ち、その後のキャリアに影響することになった。

　引退の危機に直面する新垣の移籍交渉は、現役への未練を断ち切って新たなスタートを切った新町だからこそできる仕事だ。覚えているだろうか？　第1話で所属チームの解散で移籍先を探していた新町が、土下座して現役続行を訴えていた姿を。新町の願いはかなわず、紆余曲折を経てスポーツマネジメントの世界に足を踏み入れることになったが、もしあの時、新町の隣に頼れる代理人がいたらと想像する。怪我をしてJ1を去った時と同じように、選手である新町は必要としていたのだ。決して諦めず、ともに手を携えて進む相棒を。

　「もしですよ。あの時、僕をマネージメントしてくれる人がいて、その人のアドバイスをちゃんと聞いていたら」と新町。「怒りと孤独感」に覆われていた新垣は、新町の言葉を信じ、自らの選手人生を預けることを決意する。『オールドルーキー』で一貫して描かれているのは、支える側と支えられる側の関係だ。第6話で、それはお弁当を作る果奈子（榮倉奈々）と家族、サッカーでアシストをする泉実（稲垣来泉）の姿に現れる。新町自身も資料作りに四苦八苦する中で、ビクトリーの仲間に助けを求めた。