『ファイナル アカウント』監督が制作のきっかけを明かす 「祖父母の運命を深く知るため」

『ファイナル アカウント』監督コメント映像

 8月5日より公開となったドキュメンタリー映画『ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言』で監督を務めたルーク・ホランドのメッセージ映像が公開された。

 ヒトラー率いるナチス支配下のドイツ“第三帝国”が犯した人類史上最悪の戦争犯罪、ホロコースト。本作は、武装親衛隊のエリート士官から、強制収容所の警備兵、ドイツ国防軍兵士、軍事施設職員、近隣に住む民間人まで第三帝国に参加したドイツ人高齢者たちにインタビューを実施し、加害者側の証言と当時のアーカイブ映像を記録したドキュメンタリーだ。

 メガホンを取ったホランドは、イギリス出身のドキュメンタリー監督。ホランド監督は、10代になって初めて、母がウィーンからのユダヤ人難民で、祖父母はホロコーストで殺害されたというルーツを知った。その後、ホランド監督は2008年から10年の歳月をかけて250以上のインタビューを行い、本作完成直後の2020年6月、71歳で癌で亡くなった。

映画『ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言』ルーク・ホランド監督メッセージ映像

 公開されたメッセージ映像では、ホランド監督が「母は生き延びた罪悪感から、私たちには何も言わずユダヤのルーツを伝えなかった」と語り、「祖父母の運命を深く知るためこの作品を作るという旅に出た」と本作を制作するきっかけについて語っている。

 また、何百人ものドイツ人高齢者と向き合い、インタビューを行ったホランド監督は「戦時下のベルリンでしたことを老婦人に尋ねたら“頼まれれば何でもしたわ”と言った」と明かし、「加害者側からこの問題を語れる証言者は大勢いるはずだ」と確信。本作に込めた思いを「説明は許しではない、恐るべき犯罪の実態を明らかにすることなんだ」と語った。

■公開情報
『ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言』
TOHOシネマズ シャンテ、渋谷シネクイントほかにて全国公開中
監督・撮影:ルーク・ホランド
製作:ジョン・バトセック、ルーク・ホランド、リーテ・オード
製作総指揮:ジェフ・スコール、ダイアン・ワイアーマン、アンドリュー・ラーマン、クレア・アギラール
アソシエイト・プロデューサー:サム・ポープ
編集:ステファン・ロノヴィッチ
追加編集:サム・ポープ、バーバラ・ゾーセル
音楽監修:リズ・ギャラチャー
配給:パルコ、ユニバーサル映画
2020年/アメリカ=イギリス/ドイツ語/94分/カラー(一部モノクロ)/ビスタ
(c)2021 Focus Features LLC.
公式サイト:https://www.universalpictures.jp/micro/finalaccount/

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