『競争の番人』は“公取”という珍しい題材の最適解 坂口健太郎にぴったりな小勝負の役柄

『競争の番人』珍しい題材の最適解

 ウエディング費用をめぐるカルテルについて検査していく過程で、新たに浮かび上がった納入業者である花屋に対する“下請けいじめ”(=優越的地位の濫用)。しかし隙を見せない天沢(山本耕史)によって、楓(杏)や小勝負(坂口健太郎)ら“ダイロク”は有力な証拠を掴むことができず、さらに天沢はメディアを使って「花屋側が結託してホテル側に圧力をかけている」と先手を打って流布するのである。

 7月18日に放送された『競争の番人』(フジテレビ系)第2話は、前回のエピソードから引き続いて“ダイロク”ら公正取引委員会と「ホテル天沢」との攻防が繰り広げられていく。ホテル長の長澤(濱津隆之)が退職を余儀なくされたことを受け、好機と考え家を訪ねる楓と小勝負。そんななか下請けいじめの被害者である「フラワーショップ石田」に顔を出した楓は、店内に違法植物のハカマオニゲシが置いてあることに気が付いた。すでに売られた分を回収するよう助言するのだが、店の窮状を伝えられ見逃してしまう。ところがその矢先、花屋への立入検査を行うこととなり、その最中に「フラワーショップ石田」に警察がやってきた。

 ホテルと花屋の関係性では、ホテル側が“強者”であり納入業者である花屋の方が弱い立場に置かれている。その一方、地域の花屋のなかでは古参の店舗が“強者”であり、オープンしたばかりの新参は“弱者”に。ひとつの事案を通して見えてくる、さまざまな“強者”と“弱者”のかたち。たしかにドラマとしては天沢という一人の巨悪の根源が中心に置かれることでその構図が見えやすいものにはなっているが、現実的には必ずしもそうとは言い切れない。天沢の右腕である碓井(赤ペン瀧川)の描かれ方を含め、絶対的な強者というものは本当に一握りしか存在せず、常にそれらは表裏一体の関係にあるのだと考えさせられる。

 さて、今回楓が「フラワーショップ石田」に肩入れをしたためにあらぬ疑いをかけられてしまい、桃園(小池栄子)から叱責されるわけだが、それも前回の記事で指摘したように、この専門的な世界に初めて触れる=視聴者に近い立場に主人公を置くというねらいの上での描写であろう。対してバディを組む小勝負は、さらに審査官としての優秀ぶりを見せつける。そのひとつは、巧みな話術で長澤の心を動かし、緊急立入検査への糸口を掴む一連だ。

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