上川隆也「声は自分の大事なツール」 遺留品に宿る思いをすくう糸村の“声”も魅力に
『遺留捜査』は「“いつも着ていたい”と思える着心地のよい一着」
――ここ数年、ドラマの放送中に、リアルタイムでSNS、Twitter上で知らない人たちと一緒に盛り上がるといった楽しみ方も出てきています。そうした楽しみ方にはどんな印象がありますか?
上川:林のなかに差し込んでくる光への、新しい枝葉の伸ばし方をみなさんがなさっているのかも知れません。ここ数年、家にこもっている時間を過ごす方も多かった中で、これまでのコミュニケーションを阻む茂みも深くなったことでしょう。そんな環境でも残されている光に、枝を伸ばしていったのではないでしょうか。それは否定するものでも肯定するものでもなく、そこに光があれば新しい芽も芽吹くでしょうし、花も咲くかもしれない。いまの環境が生んだ、1つのコミュニケーションなのだろうと思います。
――上川さんご自身は、放送時にドラマを一緒に観ながら、SNSの反応をチェックするといったことはしたことがありますか?
上川:僕はひとりで楽しみたい派です。それが自分の作品で、楽しんでくださっている方がいることをSNS等の反応で受け止められれば、それは嬉しいことだとは想像します。でもそもそも自分の作品を観ることも多くはないですし、さらに共有するというのは気恥ずかしさを覚えてしまうのが正直なところ。放送される作品はどれも、ご覧になってくださる方にどうぞと受け渡してしまったプレゼントのようなもの。そこからさらに、みなさんが「なになに?」と箱を開けている姿を覗きにいくのは野暮だなと僕は思っています。
――ありがとうございます。最後に糸村は上川さんにとって、どのような存在になっていますか?
上川:糸村はもはや、独自のアイデンティティーを持っていますし、彼が携えているどこか不思議な雰囲気や掴みどころのない行動を含めて、他に類を見ないキャラクターだと思っています。僕のキャリアの中でも最も長く演じさせていただいている役でもあり、愛着も含めて他にはない距離を感じる人物です。
――では『遺留捜査』は?
上川:みなさんもご自身のワードローブの中に、「いつも着ていたい」と思うような着心地のよい一着があると思います。また、身に着けるモノが立ち振る舞いに影響を与えることも共感していただけるのではないでしょうか。僕にとって、袖を通したとき心地よさ、落ち着きを感じさせてくれるのが、『遺留捜査』。心地よく身に着けた装いが、役としての思考・行動も導いてくれる……そんなふうにすら思えるのがこの作品です。
■放送情報
『遺留捜査』
テレビ朝日系にて、7月14日(木)スタート 毎週木曜20:00~20:54放送
出演:上川隆也、栗山千明、戸田恵子、永井大、戸塚純貴、甲本雅裕
脚本:大石哲也ほか
演出:長谷川康、兼﨑涼介ほか
ゼネラルプロデューサー:三輪祐見子
チーフプロデューサー:佐藤凉一
プロデューサー:藤崎絵三、残間理央、丸山真哉、谷中寿成
音楽:𠮷川清之
制作:テレビ朝日、東映
(c)テレビ朝日